九条ネギで地域活性化 協力隊員長岡さん 口内で栽培、出荷【北上】
北上市の地域おこし協力隊員・長岡務さん(39)は、同市口内町で栽培する「九条ネギ」の出荷を開始した。京野菜である同ネギの栽培は県内では珍しく、「口内産九条ネギを広め、地域活性化につなげたい」と収穫に汗を流す。市内の飲食店や産地直売施設などに届けており、降雪期が到来する今月下旬までの出荷を予定する。
国内の青(葉)ネギの一種で京都の伝統的な野菜。口当たりが柔らかで甘味があり、葉の内部にぬめりがあるのが特徴。寒さが厳しくなるとぬめりが強まり、甘味が増す。県中央農業改良普及センターによると、一定規模以上の栽培事例は県内ではほとんどないという。
同市出身で2017年5月に協力隊員として着任。口内町草刈場の古民家を拠点に初年度は借り受けた近くの畑で試験栽培に取り組んだ。2年目の18年度は約6アールで栽培を本格的に開始。10月中旬から市内を中心とする飲食店10店に出荷しているほか、同町にある産直施設「あぐり夢くちない」に配置、1袋200円で一般販売を開始した。
関西で食した際の衝撃が栽培への衝動に駆り立てた。5月に種をまき7月に定植した苗が80センチほどに伸び、収穫して泥を取ったり、皮をむくなどの作業に励む。今季は100キロの収穫を見込む。栽培は全てが手探りで、出来栄えは「20点」と自己評価は低め。「買ってくれた人がいたことは評価できるが、細めな物が多く期待より甘味が乗らなかった」と課題を挙げる。
その上で19年度は「出荷プロセスが少しずつ見えてきたので、食味をアップさせるよう雑草対策や栽培方法を改良したい」とし、生産量増と販売エリア拡大に努力する考え。「ユーザーの顔が見える飲食店の経営にも乗り出したい」と目標を掲げ、「口内が九条ネギの産地と言われるよう地域をアピールし、雇用も生み出したい」と夢を膨らませる。