沿線住民に駅舎公開 JR山田線宮古―釜石間 復旧工事ほぼ完了 来春開業へ期待膨らむ【岩手】
東日本大震災の津波で被災したJR山田線宮古-釜石間(55・4キロ)の復旧工事がほぼ完了したことに伴い、JR東日本と三陸鉄道は23日、沿線住民を対象にした駅見学会を開いた。参加者は復興を象徴する駅舎を間近で眺め、2019年3月のリアス線開業へ期待を膨らませた。
津波で同区間は約8・5キロにわたり線路が流失。13駅のうち7駅が被災した。JR東日本が中心となり復旧工事を進め、線路や駅舎など主な工事が完了。駅舎は磯鶏と津軽石を修繕し、織笠、浪板海岸、鵜住居は新設した。残る陸中山田と大槌は、地元自治体が工事を進めている。
順調な進捗(しんちょく)状況を周知するため初の駅舎見学会を開催。宮古市や釜石市から計90人が参加し、陸中山田、織笠、鵜住居、大槌の4駅を巡った。
このうち津波で流され、住宅地付近に移設した織笠駅(山田町)は、3月26日に着工し、8月10日に完了した。濃い茶色を基調としたデザインで、山田湾に浮かぶオランダ島をモチーフにした屋根が特徴。参加者はホームから外観を眺めたり、看板を撮影したりしながら、利用者でにぎわう未来に思いをはせた。
妻と参加した無職大和覚さん(70)=宮古市津軽石=は「鉄道が使えなくて不便だったので、来春の開業はうれしい。駅のデザインも良く、今後積極的に利用したい」と顔をほころばせた。
同区間では今後、信号や踏切などの設備を調整し、来年1月下旬に試運転を行う予定。JR盛岡支社の齋藤道法企画部長は「仕上げを確実に行い、移管後も多くの人に利用されることを期待する」、三陸鉄道の金野淳一運行本部長は「(リアス線を)買い物や病院、学校など、さまざまな地域の足として使ってほしい」と語った。