花巻

継承へ思い新た 葛神楽 400年記念し式典【花巻】

400年記念式典で天女の舞を披露する葛神楽

 葛神楽保存会が主催する葛神楽400年記念式典は25日、花巻市葛の葛郷土芸能伝承館で行われた。会員や地域住民、関係者が神楽を守り伝えてきた地区の歴史と重みをかみしめるとともに、後世への継承に思いを新たにした。

 同市宮野目の葛地区に伝わる葛神楽は諏訪神社の奉納神楽。県内で発見された岳系神楽本としては最古といわれる「言立(いいたて)本」が残されており、それによると元和4(1618)年に岳神楽から舞を伝授されたと伝えられる。1996年に市無形民俗文化財に指定、神楽15演目の舎文が書かれている言立本は2000年に市有形民俗文化財に指定された。

 式典には約100人が出席し、同保存会の瀬川正志代表は「次世代を担うメンバーもいて心強いが、もっと会員が増えてほしいとも思う。この400年記念行事が地域と神楽の関わりを考え、さらなる普及啓蒙(けいもう)につながる契機となることを祈念する」と式辞。上田東一市長、佐々木順一県議会議長、花巻地方神楽協会長の小国朋身岳神楽保存会長が祝辞を寄せた。葛神楽は天女の舞、岳神楽は諷誦と権現舞を披露し、来場者を魅了した。

 「早池峰信仰と葛神楽本の存在」と題して記念講演した市文化財保護審議会委員の中村良幸さんは、言立本について「岳神楽で現在使われている神楽本と比べてみるとほぼ同じ。早池峰神楽の伝承の厳しさも感じさせる」と指摘。早池峰山と宮野目地区との深い関わりから神楽がいち早く伝えられる必然性があったと説明し、「本を失わず、神楽も伝わっているのは素晴らしく、地域の方が大事に神楽を伝承してきたことを示す良い事例。今後も伝承し、花巻市の郷土芸能、民俗芸能の盛り上げに一役買ってほしい」と語った。

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