一関・平泉

不動明王坐像 平安期の姿に 平泉・達谷西光寺 解体修復始まる

修復のため解体された達谷西光寺の不動明王坐像(手前)。奥では新たな補部材を糊漆で接着する作業が進む=平泉町内の社寺建築会社作業場

 平泉町の達谷西光寺(達谷窟敬祐別当)にある不動明王坐像(県指定文化財)の解体修復作業が始まった。同像を本尊として安置する姫待不動堂の修復と併せて進められるもので、平安後期の作となる像のうち後世の補修による部材のほとんどを本来の素材や形状に戻す。作業は今後、傷みの激しい部分の保存処理などを含めて行われ、修復後は2021年完成予定の新しい不動堂に安置される。

 同像は同寺飛び地境内となる姫待滝にあり、奥州藤原氏2代基衡が再建した不動堂の本尊として祭られていたものを寛政元(1789)年に現在地へ遷座。不動明王坐像では珍しい高さ約2・75メートルもある丈六仏でカツラ材の寄木造。1975年県文化財指定。

 1月27日の抜魂法要を経て始まった修復作業では、解体した部材を町内にある社寺建築会社の作業場に運び状態を確認。頭部と胴体前面、右足の部分以外は230年前の遷座の際に補修が行われ、木材も本来のカツラが使われていないことから、火炎光背など一部を除いて本来の素材や形状に戻す作業が進められる。

 14日にはカツラ材を使い復元した胴体裏側部分の部材を接着する作業が始まり、漆を扱う伝統工芸師の菅原正さん(82)=一関市大東町=の指導で漆に米のりを混ぜた糊(のり)漆を部材に塗り、慎重に組み立てていった。

 修復を担当する京仏師で、同寺金堂本尊の薬師如来像などを手掛けている佐久間溪雲さん(62)=同=は「江戸時代に補修された部分は、残された部材などを参考にしながらできるだけ自然な姿に戻したい。当時のまま残る胴体や右足の部材には腐食や欠損が多くあるので、樹脂注入による保存処理や欠損部分に木屑漆を充塡(じゅうてん)するなどしながら慎重に作業を進めていく」としている。

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