新緑の猊鼻渓 舟上で一服【一関】
日本百景に数えられる一関市東山町の名勝・猊鼻(げいび)渓で19日、茶席舟が運航された。静寂の中、乗客は新緑に映える砂鉄川沿いの美しい渓谷を見ながら舟の上で茶をたしなみ、みやびな雰囲気を味わった。
好天に恵まれた同日は午前10時、正午、午後2時から各20人限定で3回運航。同市東山町の近藤宗幸さんと小玉宗義さんが茶でもてなした。
乗客たちは茶をいただきながら、薄紫色のフジに彩られた渓谷美を堪能。船頭の案内や「げいび追分」の名調子に耳を傾け、ゆったりとした時間を過ごした。
青森県八戸市から訪れ、ともに和服姿で乗った赤石真紀さん(52)と富澤睦美さん(51)は「渓谷の素晴らしい景色の中での茶席はとてもぜいたく」とし、「鳥が羽ばたく音やフジの花の香りなど自然を感じることができてとても癒やされた」と満足していた。
茶席舟は1997年に京都の茶人を招いて茶会を催したのがきっかけで、舟下りを運航するげいび観光センターが企画。フジが見頃で新緑が美しいこの時期合わせ、気軽に茶を楽しんでもらおうと毎年実施されている。