ブラックホール 実体は 国立天文台田崎さんが講演【岩手】
いわてサイエンスシンポジウム実行委員会が主催する「科学未来講演会」は10日、盛岡市のいわて県民情報交流センター(アイーナ)で開かれた。史上初の画像撮影で話題となったブラックホールについて、国立天文台水沢VLBI観測所特任研究員の田崎文得さんがその特殊な性質や撮影の成果を語った。
子供たちが最先端の科学に触れるイベント「いわてまるごと科学館」の一環で開催。約100人が聴講した。
田崎さんは、国際共同研究プロジェクト「イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)」の日本メンバーとして、史上初のブラックホール画像撮影に貢献。ブラックホールについて「穴のようだが実際は黒く見える星。重力がとても強く、光も吸い込んでしまう」と説明。15メートル先にビー玉サイズのブラックホールがあった場合、「重力の影響で1ミリグラムのアリの体重が200トンのクジラ並みに増大する」と具体例を示した。
特徴の一つとして、重力で光を曲げる性質についても紹介。「ブラックホールの近くを通る光は、周囲をくるくる回る。さらに近づくと吸い込まれてしまうため、撮影した写真では中心が黒いドーナツ状に見える」と解説した。
画像撮影は世界中の八つの電波望遠鏡をつなぎ合わせ、地球サイズの望遠鏡を仮想的に作り上げて実施。今回の撮影でブラックホールの質量や大きさが分かってきたといい、「これを機に観測がどんどん進化し、より新しいデータや写真が収集できるようになる。EHTのメンバーと協力し、今後もブラックホールの不思議に迫る研究を進めたい」と話した。