地域の絆育む「二行文集」 コロナ、学校思いを表現 立花・吉内住民30年以上継続【北上】
北上市立花の吉内地区の住民は、思い思いに感じたことを記述する「二行文集」の取り組みを30年以上にわたって続けている。年1回のペースで発行し、全戸配布している文集「きじねぇ」は2021年度で33号。世の中のこと、身の回りのことを短文にしたため、地域の絆を育んでいる。
「二行文集」は、同地区に移住した元学校教諭の斎藤和久さん(故人)が1988年に始めた生涯学習活動。橘内公民館社会教養部が主体となり、地区内の6班ごとに希望者から原稿を集めて一冊にまとめている。
最初は1行(35字)だったが書き足りずに長文を提出する人もおり、2行に変更して定着。文集も斎藤さんの手書きからパソコンによる打ち込みへと移り変わり、地域づくりに向けた提言やイラストなども自由に掲載されてきた。
2011年は東日本大震災について書いたものが多いなど、世相が色濃く反映されているのも特徴で、同公民館の鬼柳直也館長は「その時、その時に、地区住民がどういうことを考えていたかが分かるし、地域の振り返りにもなる。出す人が少なくなっているが、今後もできるだけ参加してもらいながら続けたい」と語る。
今月発行された33号には、長引く新型コロナウイルスの感染拡大への不安や3回目のワクチン接種、天候不順、23年度に開校する東桜小学校に関する文章などがつづられており、地区内74戸に配布した。
以前、文集発行を担当していた総務の菊池裕さんは「もらった原稿を打ち込んでいると、各家庭の雰囲気が見えてくる気がして、文集が出来上がったときは満足感や達成感に加えて、地域のつながりなども感じられる。地区内の結束を保つ良い取り組みだと実感している」と胸を張る。