花巻

健康志向浮き彫り 学生喫煙率初の一桁 富士大調査【花巻】

富士大の学生の喫煙状況を調査した佐々木教授(中央)のゼミのメンバー

 花巻市下根子の富士大(岡田秀二学長)の佐々木安廣教授の教養ゼミは、1998年度から同大の学生の喫煙状況を調査してまとめている。2021年度の喫煙率は前年度比5ポイント減の9%で、24年目で初めて10%を割り込んだ。かつては8割に達していた喫煙率は年々減少しており、学生のたばこ離れや健康志向が改めて浮き彫りとなった。

 調査に当たったのはゼミに所属する1年生14人。各学年の人数が同じになるようにアンケートを配り、男子235人、女子93人の計328人から回答を得た。

 喫煙率は、1999年度の80%を最高に下降をたどり、2005年度には30%まで低下。今年度は過去最低だった20年度の14%からさらに大幅減となり、調査開始以来初の一桁となった。健康志向の高まりやたばこの値上がりに加え、20年9月から同大の敷地内が全面禁煙になったことなど、喫煙可能スペースの減少が要因として考えられる。

 最初にたばこを吸った時期に関する質問は大学生が71%と最も多く、中には幼稚園という回答も。動機は「ただ何となく」が37・5%と最多で、「他人に勧められた」「興味があった」がともに25%で続いた。伊藤結莉さん(19)は「幼稚園で吸ったのは、親のまねなど家族や環境の影響だと思う。たばこの害や影響を一人ひとりが考え、周りの人のためにもやめる努力をしてほしい」と訴える。

 喫煙者に対する「たばこの害を気にしたことがあるか」という質問は、「いつも気にしている」「時々気になる」を合わせると77・3%。「将来たばこをやめたいと思っているか」については「思っている」が70%に達した。

 太田萌恵さん(19)は「たばこの害を自覚し、禁煙したいと思っていてもやめられない現状があると分かった」と考察。一方で、非喫煙者のたばこを吸わない理由にも「ただ何となく」が一定数あり、これらの学生にもたばこの健康被害を理解してもらうことが重要と結論づけた。

 同大に50年間勤務し、今春退職する佐々木教授は「みんなでまとまって一つのテーマに向き合うことで達成感を味わえる。長い間取り組むことによりデータの変化も分かるので、継続は大事だと思った。この調査結果が、快適な環境づくりにいくらかでも役に立てばうれしい」と振り返った。

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