風雪乗り越え樹齢900年 巨木の会が姥杉探訪 仙人峠【北上】
北上市を拠点に名木探訪や樹木の保全活動に取り組む「きたかみ巨木の会」(平賀昭士会長)による仙人峠の姥(うば)杉探訪会は4日に開かれた。参加者は、風雪や伐採の危機を乗り越えた樹齢900年とされる姥杉を仰ぎ見て、悠久の時の流れを感じ取っていた。
同市と西和賀町の境に位置する仙人山(882メートル)への登山コース沿いにそびえ立つ姥杉は、樹高30メートル、幹周りは11・5メートルで、市の天然記念物に指定されているほか、林野庁の「森の巨人たち百選」に選ばれている。
同日は同会会員のほか一般を含め10人が参加。登山道入口にある巨木塔前で行われた安全祈願式で、平賀会長は「姥杉に出合うと、大きな声で歓声を上げる人と、黙ってしまって静かに見上げる人がいる。青空が広がるみどりの日に思う存分自然を満喫してほしい」とあいさつ。参加者は山腹をつづら折りに登り、1時間余りで姥杉にたどり着いた。
山道の所々に大規模な雪崩の痕跡が見られたほか、雪の重みで倒れた樹木もあったが、道端にはカタクリやキクザキイチゲ、ニリンソウなどが咲きほころび、参加者の心を和ませた。
姥杉は今冬の雪による被害は見られなかったが、2013年に姥杉と久那斗神社奥宮の間に植樹した「姥杉2世」は、幹が途中で折れ曲がっているのが見つかった。会員らはテープで幹を補修したり、添え木を補強したりして応急処置を施した。
今回の団長を務めた同会の武田勝さんは「姥杉は雪による被害があまりなかったので一安心。2世は回復するまで観察し続けたい。何とか元気に育ってほしい」と願っていた。
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