華やか 風流山車 5団体運行 町に活気 石鳥谷まつり始まる【花巻】
初秋を彩る「南部杜氏の里 石鳥谷まつり」(同実行委員会主催)は8日、花巻市石鳥谷町で始まった。10日までの3日間の予定で、初日は熊野神社の神輿(みこし)渡御に続き、豪華絢爛(けんらん)な南部流風流山車がにぎやかに運行し、待ちに待った開幕を告げた。
石鳥谷地域総参加の祭りとして1980年に始まり、41回目を数える今年は、新型コロナウイルスの影響で2年の中断を挟み、3年ぶりの開催となる。地域の伝統行事や山車制作技術の次世代への継承と、石鳥谷地域の活性化を目的に感染対策を講じて開催にこぎ着けた。
最終日恒例の交通規制でのパレードは行わず、3日間とも山車の自由運行と過去のポスターや番付手拭いのパネル展などを実施。初日は、午後1時すぎに神輿が神社を出発すると、神輿に続いて5団体が山車を引いて商店街や住宅地を巡った。
大八車が用いられた山車は、その年ごとにテーマを決め、歌舞伎十八番や歴史上の名場面が選ばれる。今年は見得を切る「勧進帳」の弁慶や、「め組の喧嘩」の中心人物として知られる江戸時代の力士「四ツ車大八」が大八車を持ち上げて火消したちに向かっていく様子を表現した山車などが登場。法被姿の子供から大人までが力を合わせ、掛け声と笛や太鼓の音を響かせて山車を引き回した。
3年ぶりの運行に、下組実行委員長の中屋敷康裕さん(66)は「2年間中止していたこともあり、代々受け継がれてきたやり方を思い出しながら準備を進めてきた。子供たちが喜んでくれる姿を見られるのがうれしい」と笑顔を見せた。小村田洋子さん(87)は店の前を通る山車を見学し、「久しぶりの祭り。やはり祭りがあると町が活気づく」と迫力ある山車に感心し、山車を引く子供たちに目を細めていた。
2日目と最終日の山車運行時間は午後1~9時の間で自由運行となる。パネル展は同時間帯にまちの駅いしどりや酒蔵交流館で開催。最終日のみ宝峰跡地で飲食のテークアウトイベントがある。