安倍氏国葬4200人参列 世論二分、抗議集会も
安倍晋三元首相の国葬が27日、東京都千代田区の日本武道館で執り行われた。政府発表によると、国内外から4183人が参列し、憲政史上最長の通算8年8カ月にわたり首相を務めた安倍氏に最後の別れを告げた。国葬をめぐる世論の賛否が割れる中、会場周辺では一般献花に多くの人が訪れる一方、抗議集会も開かれた。【2、3面に関連】
首相経験者の国葬は1967年の吉田茂氏以来55年ぶり。岸田文雄首相は追悼の辞で「あなたが敷いた土台の上に、持続的で全ての人が輝く包摂的な日本、地域、世界をつくっていく」と述べ、安倍氏が内政・外交面で築いた「遺産」の継承を誓った。
国葬では、国歌演奏や黙祷(もくとう)が行われ、生前の安倍氏の映像が流された。秋篠宮ご夫妻をはじめとする皇族方が参列。官房長官として長年、安倍氏を支えた菅義偉前首相は「あらゆる苦楽を共にした7年8カ月。私は本当に幸せだった。日本にとって真のリーダーだった」と故人をしのんだ。国葬は開始から4時間後の午後6時すぎに終了した。
式に先立ち、安倍氏の遺骨を乗せた車は都内の私邸を出発。防衛省を経由して会場に到着すると、自衛隊の儀仗(ぎじょう)や演奏、弔砲で迎えられた。会場近くの九段坂公園に設けられた献花台には長蛇の列ができ、一時約3キロ離れた四ツ谷駅付近まで献花を待つ人が続いた。一方、国会正門前では反対派が集会を開き、「弔意の強制は許さない」などと声を上げた。
吉田氏の国葬と異なり、政府は国民に弔意表明を求めなかった。首相官邸や国会は半旗を掲揚。中央省庁の対応はまちまちで、環境省は放送で黙祷を呼び掛けたが、国土交通省は「職員個人の判断」に委ねた。
安倍氏は、2006~07年と12~20年の計2回、政権を担った。参院選遊説中の7月8日に銃撃され亡くなった。【時事】