北朝鮮がミサイル 過去最長4600キロ飛行 17年以来日本上空を通過
日韓両政府によると、北朝鮮が4日午前7時22分ごろ、弾道ミサイル1発を内陸部慈江道舞坪里一帯から発射した。日本の東北地方上空を通過して同44分ごろ、太平洋上の日本の排他的経済水域(EEZ)外に落下した。松野博一官房長官は記者会見で、飛距離が過去最長の約4600キロ、最高高度が約1000キロと推定されると説明。航空機や船舶などに被害は確認されていない。
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防衛省によると、ミサイルは午前7時28~29分ごろにかけて青森県上空を通過した後、釜石市から東に約3200キロの地点に落下したとみられる。
日本政府は、全国瞬時警報システム(Jアラート)を通じて、北海道と青森県などに避難を呼び掛けた。北朝鮮のミサイルが日本上空を通過したのは、2017年9月に北海道上空を越えた「火星12」以来5年ぶり。Jアラートの発動もそれ以来となる。「日本に飛来する恐れはない」として破壊措置は取らなかった。
岸田文雄首相は記者団に「暴挙であり、強く非難する」と述べ、情報収集・分析に努める考えを示した。政府は国家安全保障会議(NSC)を首相官邸で開催。首相はアキリーノ米インド太平洋軍司令官と会談し、緊密な連携を確認した。
松野氏は、北朝鮮に対し北京の大使館ルートを通じて厳重に抗議したと説明。声明も発表し、国民に平常通りの生活を呼び掛けるとともに、反撃能力保有の検討を含め「防衛力を抜本的に強化する」との意向を重ねて示した。
防衛省によると、北朝鮮が発射したのは中距離弾道ミサイル以上で、火星12と同型の可能性がある。韓国軍によると、速度はマッハ約17だった。
林芳正外相はブリンケン米国務長官、韓国の朴振外相と電話でそれぞれ会談し、国連安全保障理事会でのさらなる対応に向け、日米、日米韓で連携することを確認した。北朝鮮は今年に入りミサイル発射を繰り返し、巡航ミサイルを含めて今年23回目。【時事】
北朝鮮により発射された弾道ミサイルは4日朝、日本上空を通過し、太平洋上に落下したとみられるが、県内で人的、物的被害は確認されなかった。
県防災課によると、今回の発射で本県はJアラートの対象地域に含まれなかったため、情報連絡室は設置せず、警察や消防、海上保安庁と連携して情報収集。落下物や船舶などへの被害の連絡はなかったという。
一方、JR盛岡支社によると、同日午前7時27分ごろ、北朝鮮からミサイルが発射されたとの情報を受け、安全確認のため、東北新幹線は盛岡―新青森間で一時運転見合わせ。同7時50分に運転を再開し、最大18分遅れた。