インボイス制度 取引方針 4割未決定 商工リサーチ盛岡調査 免税事業者へ影響懸念
消費税納税額の正確な把握などを目的とするインボイス制度(適格請求書等保存方式)の導入まで1年を切った。東京商工リサーチ盛岡支店が実施した同制度に関する調査で、制度の認知は広がっているものの、4割の企業が取引方針を決めていないことが分かった。2割近くが免税事業者とは取引しない方向で、同支店は免税事業者に影響が広がることを懸念している。
消費税の納税を免除されている小規模事業者にとって、制度開始後に課税事業者へ移行すると納税負担が生じる一方、免税事業者のままでは値下げ要請や取引敬遠が生じかねないなど課題が想定されている。これを踏まえ、調査は8月1~9日にインターネットを通じて行い、県内92社から回答を得た。
制度を知っているかどうかの問いには「知っている」が92%に上り、認知は広がっている。ただ、制度導入後、免税事業者との取引については「これまで通り」と回答した企業が4割ある一方、残り4割は検討中で、取引中止や取引価格の引き下げの方針を示している企業が18%近くあることが分かった。
調査からは、取引方針が決まっていない企業が多く、取引中止などで免税事業者に影響が及ぶ可能性や、今後の取引関係に何らかの変化が生まれることもうかがえる。同支店は「長引くコロナ禍で県内でも経営不振が続く企業が見受けられるため、制度導入で混乱が起きないよう事前の支援やフォローが重要だ」としている。
インボイス
売り手が買い手に対し正確な消費税額などを伝えるもので、2023年10月に制度が導入される。事業者が消費税の控除や還付を受けるためには税率や税額を記載したインボイスと呼ばれる請求書やレシートが必要で、事業者は取引先からインボイスの発行を求められるケースが想定される。
現在、消費税が免税されている小規模事業者は、インボイスを発行するために必要な登録を行えば新たに消費税の納税義務が生じる。