コロナ終息祈り力強く 時の太鼓 打ち納め式【一関】
江戸時代をルーツとした「2代目時の太鼓」の御用納め式は28日、太鼓が展示されている一関市のJR一ノ関駅構内にある新幹線コンコースで行われた。一関夏まつりが3年ぶりに開催され、恒例の時の太鼓大巡行も復活したことを改めて喜びながら、新型コロナウイルス終息への願いと多幸を祈り打ち納めとして勇壮な音を響かせた。
式には時の太鼓顕彰会や市、一関青年会議所、市観光協会、いわいの里ガイドの会、同駅の関係者ら約20人が出席。初めに、市観光協会の佐々木賢治会長が「今年はコロナが丸3年となり、ロシアのウクライナ侵攻に伴う物価高騰という地域経済に影響を及ぼした大変な一年となったが、一関夏まつりや各地の祭り、イベントができたことは地域の活力になった。北京冬季五輪の岩渕麗楽選手、甲子園での一関学院の活躍などうれしいこともあり、多くの感動、元気を勢いにして新年の力にしていきたい」とあいさつ。
関係者が太鼓の前に設けられた祭壇に拝礼した後、時の太鼓顕彰会の和泉拓磨会長が力強く打ち納めをした。今月就任したばかりの和泉会長は「今年を振り返ると、時の太鼓大巡行をできたことが私たちの大きな成果だった。これまでの時の太鼓の伝統文化を継承していくことを念頭に置きつつも、新しい風を吹かせながら邁進(まいしん)していく」と述べて三本締めを行った。
時の太鼓は江戸時代、城下町に時刻を告げるため、一関藩が幕府から特別に許可を得て毎日正午などに打ち鳴らしたとされ、「一関に過ぎたるものは二つあり、時の太鼓と建部清庵」と評された。当時の太鼓は同市真柴の長昌寺に所蔵されており、同駅に展示されている2代目時の太鼓は、東北新幹線開業を祝い1983年に製作された。顕彰会が中心となって毎年8月に開かれる一関夏まつりで巡行されており、3年ぶりに開催された今年のまつりで堂々と演奏を披露した。