巨木保護取り組み20年 活動まとめ記念誌発行 参加児童感想文も 北上の団体
北上市を拠点に樹木の保全活動を展開している「きたかみ巨木の会」(平賀昭士会長)は、発足から現在までの軌跡を網羅した20周年記念誌を発行した。一貫して巨木の保護活動や愛護思想の普及などに努めてきた同会の20年の歩みが、豊富な資料と写真でまとめられている。
同会は、公民館行事の一環として行われた巨木巡りをきっかけに2001年5月に発会。会員は現在46人で、市内を中心に花巻、一関、釜石などの各市や宮城県のメンバーもいる。例年、市内外の巨木・名木を巡る探訪会や、草刈り作業など保全奉仕活動のほか、写真展や交流会など一般市民を対象とした啓発活動も精力的に行っている。平賀会長(86)を中心に編集している会報は264号に達し、機関誌「姥(うば)杉」も21号を数える。
記念誌はA4判、150ページ。表紙には市立和賀西小学校の創立30周年記念行事として22年6月11日に行われた市指定天然記念物「仙人峠の姥杉」を訪ねる全校児童ハイキングの写真を用いている。若葉輝く森の中で子供たちの笑顔が印象的な1枚だ。
作家の中津攸子さんや八戸ペンクラブの道合政邦さんら15人の祝辞や寄稿文を収録しているほか、同会会員も短編の物語や短歌などを寄せている。さらに02年に市内で開催された巨木フォーラムの内容や、和賀西小の児童による姥杉ハイキングの感想文、俳句なども収録されている。
平賀会長は「新型コロナウイルスの影響で事業が中止になったり、編集作業が思うように進まなかったが、ようやく出来上がった。『早く発行を』という声もあったが、山歩きと同じで、ゆっくり確実に進めないときちんとした歴史を残すことができないという思いもあった」と語る。
20年を「長いようで短かった」と振り返る一方で、「年を取り山歩きはできなくなったが、これからもさまざまな提案をしていきたい。樹木を育て、水源を守り、福島県浪江町までのイチョウ植樹、エドヒガン桜の保全などなど、壁は厚いが休まずやりたい」とも。平賀会長は100年、1000年単位で未来を思い描いている。
記念誌は150部を発行。市内の図書館や学校など関係機関に配布した。問い合わせは平賀会長=0197(72)2512=へ。