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交通事故死者37人 過去2番目の少なさ 昨年・県内【岩手】

 県警は、2022年の県内交通事故発生状況をまとめた。死者は37人(前年比2人増)で、記録が残る1948年以降、過去最少だった21年の35人に次いで少なかった。関係機関との連携による街頭啓発活動などが県民の交通安全意識向上につながったとみている。一方、高齢者が関係する事故が多いことから、県警は高齢者を中心とした交通安全対策を推進し事故抑止を図っていく考えだ。

 県警交通企画課によると、22年の人身事故は1512件(前年比54件減)、傷者は1811人(同19人減)でともに減少した。高齢者が関係する事故は689件(同26件減)で、このうち65歳以上の高齢ドライバーによる事故は489件(同11件増)だった。

 死亡事故の発生件数は前年と同じ35件だったが、死者数は2人増えた。

 死亡事故を累計別に見ると、車両相互が前年と同じ14件で最多。このうち車線逸脱などによる正面衝突が7件で半数を占めた。次いで車両単独12件で、工作物への衝突や路外への逸脱が多かった。人対車両の事故が前年より2件多い9件だった。

 死者を年代別に見ると、10歳未満2人、10代、30代各1人、40代5人、50、60代各4人、70、80代各9人、90代2人。65歳以上の高齢者は23人で、全体の62・2%を占めた。

 月別の死者は1~4月と6~9月が3人以下と低水準で推移。5月の5人をはじめ、日没時間が早まる10月に6人、11月に4人、12月に最多の7人が亡くなった。特に12月には一度に複数が犠牲となる事故が多発した。

 遠野、岩泉両署管内では、年間を通じて死亡事故がなかった。

 県警は23年の事故抑止対策として、高齢者への広報啓発の取り組み、飲酒運転の根絶を重点に掲げる。

 具体的には「在宅訪問指導プラス」と銘打ち、巡回連絡の際に高齢者宅を訪問して交通安全指導を実施するほか、不在時も啓発カードを配布するなど、各署で創意工夫を凝らした活動を展開する。

 飲酒運転根絶に向けては、毎月県下一斉の取り締まりを行う。また、県内の医師会や医療機関と連携し、アルコール依存症者の早期把握にも取り組む。

 同課の中嶋英樹次長は「運転手、歩行者双方で高齢者が関係する事故が多い状況だ。関係機関・団体と連携し、基本的な交通ルールの周知を徹底して事故抑止を図っていきたい」と話している。

全国は6年連続最少更新 大阪初の最多

 2022年に全国で起きた交通事故の死者数が前年比26人減の2610人と、統計が残る1948年以降で最少となったことが、警察庁のまとめで分かった。最少を更新するのは6年連続。都道府県別では大阪が初めて最多となった。

 65歳以上の高齢者の死者数は1471人(速報値)で、死者全体に占める割合は56・4%と高い水準が続いている。

 都道府県別では大阪が141人。愛知137人、東京132人と続いた。最少は鳥取の14人。人口10万人当たりでは、74人の岡山が3・94人で最多となり、東京が0・94で最少となった。

 事故の発生件数は前年比4003件減の30万1193件(速報値)で、負傷者数は同5712人減の35万6419人(同)。

 交通事故死者数は1970年に過去最悪の1万6765人を記録し、近年は減少傾向にある。政府は、2025年までに年間死者数を2000人以下とする目標を掲げている。

 谷公一国家公安委員長は「交通事故死者数の最少の更新は、関係機関や国民が事故防止に向けて積極的に取り組んできた結果だと考えているが、多くの尊い命が失われていることには変わりない。歩行者の安全確保や自転車の交通ルール順守の徹底などを推進するよう警察を指導する」とコメントした。【時事】

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