経営安定支援へ 単価設定し助成 JA江刺、激変緩和対策事業 米穀、園芸、畜産【奥州】
奥州市のJA江刺(小川節男組合長)は、組合員を取り巻く厳しい農業経営環境からの影響を緩和しようと新たな独自支援「農業経営激変緩和対策事業」を行う。同JAでは2022年度に22年産米経営支援対策などコメ農家への支援、園芸用燃料高騰支援を独自に実施。今回の支援では、米穀、園芸、畜産の経営安定支援として単価を設定して助成する考え。同JAでは2月に開く冬期座談会で組合員に説明し、年度内に指定口座に振り込むとしている。
同JAでは、農業者の高齢化や生産意欲の減退、収益低下による耕作面積の減少、耕作放棄地の増加が生じていることから地域農業や農村の維持が困難になると危惧。持続的な農業を進めるために独自支援を行っている。今年度は既に22年産米経営支援対策、集荷対策助成、江刺金札米品質向上対策、園芸用燃料高騰支援の独自支援を実施し、4706万1000円を支援している。
今回は、近年の農畜産物の価格低迷と物価高による資材高騰が再生産コストの確保が困難として、米穀、園芸、畜産の経営安定支援を行う。対象となるのは、米穀、園芸は同JAに出荷実績のある者で、畜産は同JA管内で家畜を飼養する者。いずれも23年度以降も営農を継続することも要件になっている。
米穀の対象品目は主食用米、種子用米、大豆、小麦で、助成単価は同JAに出荷された全数量を同JAが定める規準単収で割った面積10アール当たり400円。園芸は野菜、花き、果樹が対象品目で、助成単価は同JA営農推進部園芸課が保有する園芸作物販売委託書などに基づく面積10アール当たり550円。
畜産の助成単価は、今月実施する頭数調査によって対象頭数を決定。肉用牛(繁殖、肥育)が1頭当たり1500円、乳牛は1頭当たり1700円、羊が1頭当たり150円。
同JAでは「国が7割、県が1割、市が1割の助成を行っており、残りの1割をJAが担う」との考え。同事業の事業費は米穀と園芸で1220万円、畜産で431万円余りという。
同JAの小原武雄専務は「第1次産業はコスト転嫁が難しいだけに、農家は厳しい思いをしている。その場限りの補填(ほてん)でなく、適正な価格で販売できるルールを国で定めるなど政策に期待するしかない」と語っている。