雪解け水活用、発電量増 胆沢ダムで試行 北上川統合管理事務所【奥州】
国土交通省北上川ダム統合管理事務所などは、2月から胆沢ダム(奥州市)で、雪解け水を活用し発電量を増やす取り組みを試験的に行っている。試行期間は今月20日まで。春の融雪期に東北の一般家庭約260世帯分の年間電力消費量を発電できる見込みで、脱炭素社会の実現に向けた効果が期待できそうだ。
胆沢ダムは、かんがい用水の貯留や水道用水などの供給のため、ダム湖の水位を高くして運用。融雪期は例年、ダム湖に流入する雪解け水の一部を未活用のまま下流へ自然放流し、これは春の風物詩「白雪の滝」として親しまれている。未活用で放流される水量は毎年約1億立方メートルで、これは県庁舎(地上12階、地下1階)約1180杯分に相当するという。
同事務所と発電事業者「電源開発」(Jパワー、本社東京都中央区)では、この雪解け水を発電に有効利用しようと連携。融雪前にダム湖の水位を低くすることで、流入する雪解け水を貯留し、発電に回す試行を2月15日から開始した。水位を最大2メートル下げ、貯留量を増やすことで発電量増大につなげる。今回の試行で約120万キロワット時の発電量増が見込まれている。
同事務所では、昨年8月にも四十四田ダム(盛岡市)で大雨時に発電量を増やす試行を実施するなど、国が目指しているカーボンニュートラル(脱炭素)に向けた取り組みを進めている。担当者は「利水者の協力を得ながら再生可能エネルギーを増やしていきたい」と述べた。