風力発電配慮書に特化 県、ガイドライン策定 全国初【岩手】
風力発電事業の計画で環境影響が懸念される例が相次いでいるとして、県は環境影響評価(環境アセスメント)の第1段階である「計画段階環境配慮書」のガイドラインを策定した。地域の環境保全に配慮した事業導入を促進するため、事業者側が注意すべき事項とその考え方を示したもので、2023年度から適用を始める。風力発電の配慮書に特化したガイドラインは全国自治体で初という。
県環境保全課によると、再生可能エネルギー導入を促す国の方針を受けて環境アセスの手続き案件が増えており、22年度は県内で過去最多となる8事業の届け出があった。このうち、半数の4事業は自然生物や景観への配慮が不十分な計画だったことから、再検討を求める厳しい知事意見が出されていた。
国のガイドラインは多岐にわたり、本県の地域特性を踏まえた配慮事項を一覧できないことから県独自のガイドラインを策定した。
複数の事業案を用意して環境影響の比較検討を行うことや、自然・社会条件を考慮した事業区域の設定、騒音や水質、地盤、動植物などの環境影響を回避、または極力低減するよう検討するなど、注意すべき点をまとめた。
「イヌワシに対する重大な影響の有無や事業実施想定区域の絞り込み過程における影響の差を丁寧に記載しているか」「人と自然との触れ合いの活動の場と事業実施想定区域からの距離を活動の場ごとに比較し記載しているか」など、計80項目のチェックリストも設けている。
同課の阿部茂環境影響評価・土地利用担当課長は「ガイドラインに対応することで審査が円滑になり、事業者は次のステップに進みやすくなる」と強調。「質の高い風力発電にもつながるので県としても丁寧に評価し、環境配慮への理解を促していきたい」と話している。