山岳事故 救助迅速に 専門知識、技術生かす 機動部隊が発足 奥州金ケ崎消防本部
奥州金ケ崎行政事務組合消防本部(千葉典弘消防長)に24日、山岳地帯での遭難事故や傷病者の人命救助などに備えた山岳機動救助部隊が発足した。隊員は職員から選抜された精鋭で、万が一の山岳事故に対するより迅速な救助活動に期待が寄せられる。
同本部管内(奥州市、金ケ崎町)では、2022年までの4年間で年3~6件の山岳事故が発生している。毎年発生している状況を踏まえ、職員の経験に加え、より高い専門知識と救助技術を身に付ける部隊が新設された。
部隊は、水沢消防署の鈴木健介消防司令補(43)を隊長に、各消防署と分署の20~40代の12人で組織。趣味で登山やトレイルランなどを行っている山登りの経験のある職員が選抜され、現隊員の任期は25年3月末までの2年間。
主な活動は、登山や山菜採りでの転倒や滑落などの事故、急病などにおいて救急隊では難しいとされる事案、遭難・行方不明者の発見と救助などが任務。隊員は、事故・救助事案が発生した場合、同本部や担当の消防署・分署から出動し、現場で専門的知識や経験を生かせる人材として活動する。
同日は同市水沢大鐘町の同本部で発隊式を実施。隊員12人に辞令と部隊章を手渡した千葉消防長は「昨秋から救助隊の在り方や活動の仕方を綿密に話し合い、きょうまでに万全な準備をしてくれた。前向きな姿勢で取り組む職員が当本部に存在していることは大きな誇り。救助では入山者はもとより自身の安全確保に努めながら取り組んでほしい。今後の活躍を期待している」と訓示した。
鈴木隊長は「自然を愛する方々が事故に遭われた際、心は一切損なうことなく、無事に家に帰り、また山に戻って来られる救助活動を実施できるよう、謙虚に自然に学び、日々体力と技術の向上を図ることを誓う」と決意を語った。
部隊では本格的な登山シーズンを迎えることから1泊2日での山岳地帯での訓練を積むほか、安全な登山をしてもらうため市民らにインターネット交流サイト(SNS)などを通じて山の最新情報などを発信していく。