北上・西和賀

活動の成果一冊に 長編論文や詩掲載 「北天塾」14号発刊【北上】

発行された「東北学研究誌 北天塾」第14号

 北上市を拠点に地域の歴史や文化を研究するグループ「北天塾」(菊池清春塾頭)は、活動成果をまとめた冊子「東北学研究誌 北天塾」第14号を発刊した。コロナ禍でも「活動の歩みを止めることなく、郷土の歴史を学び続けた証し」として、会員のさまざまな思いが詰まった一冊となっている。

 同会は1987年に発足。途中、活動休止期間があったものの、月1回の例会を開いているほか、2年に1回の割合で冊子を発行している。現在は同市内を中心に18人が在籍している。例会では1人がリポーターとなってテーマに沿って発表し、自由闊達(かったつ)な意見交換を通して研究内容を深めている。

 冊子はB5判、143ページ。会員ら14人が郷土史研究リポートのほか詩や随筆などを寄稿している。及川政直さん(同市花園町)が執筆した「北上の名字と家紋アレコレシリーズ3~鬼柳町の名字と家紋」は、40ページに及ぶ長編論文。電話帳で名字の分布を調べ、各所の墓を巡って家紋を確認するなど数年に及ぶ基礎調査を経て、写真や図表、絵図をふんだんに使ってまとめ上げた労作だ。

 5月17日に同市相去町の相去地区交流センターで開かれた第68回例会・出版会には会員8人が出席し、出来上がったばかりの冊子を手に、互いの労苦をねぎらうなどした。

 例会でリポーターを務めた吉野千栄子さん(同市相去町)は、冊子に寄せた詩「雪おんな」について「古代からの東北を研究する中で、詩の風景はわずか70年前に私が経験した寒村での出来事。現実社会のみに生きる現代に比べ、想像の世界と実生活が行き来できる時代だった」と話した。兒玉智江さん(同町)は「日常の生活こそが重要な歴史につながる記録。深い詩で現代にも通じる」と感想を語った。

 編集局長の佐藤克英さん(同市鬼柳町)は「大先輩から受け継いで何とか活動しているが、これからも足元の歴史に興味を持って学んでいきたい」と、活動の継続を誓った。

 冊子は200部発行。価格は1500円(消費税込み)。市内の各地区交流センターや市立図書館などに寄贈した。

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