毛越寺山林で焼け跡 世界遺産平泉構成資産 不審火の可能性も
国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に登録されている「平泉の文化遺産」の構成資産の一つ、平泉町・毛越寺(藤里明久貫主)庭園北側山林内で、枯れ枝や木の根元などが焼けている跡が5カ所見つかった。不審火の可能性もあるとみて、警察が調べている。
県教委や同寺関係者が7日、県庁で記者会見して明らかにした。
県教委などによると、焼け跡は庭園から北西に約400~700メートル離れた山林内。いずれも同寺と中尊寺を結ぶ平泉ウオーキングトレイル(全長3・2キロ)沿いで、誰でも自由に出入りできる場所になっている。
6月14日に草刈り中の作業員が下草と枯れ枝の焼け跡2カ所を発見。毛越寺から通報を受け同24日に警察と消防が現場検証した際、2カ所を追加確認しており、今月5日にも新たに焼け跡1カ所が見つかった。
5カ所の焼失面積は合わせて約410平方メートル。スギ20本、モミジ4本、クリ1本の根元が焼けていたほか、樹高3メートルの低いモミジ1本が枯れていた。周辺が焼けた影響とみられる。
町は6月30日付で、県を通じて文化財保護法に基づく「毀損(きそん)届」を文化庁へ提出。今後の対策としては、パトロールの徹底、防犯設備の充実など効果的な防犯対策を検討する。また看板などによる来訪者への文化財保護に対する注意喚起や周知を行い、再発防止に努めるとしている。
庭園や建造物への被害は確認されておらず、史跡の価値に影響はないとみられるが、同寺の千葉秀覚執事長は「毛越寺は特別史跡・特別名勝の指定地で、世界遺産の構成資産の一つでもある。残念でならない」と語った。