先祖供養、五穀豊穣願い 西和賀・沢内で舟っこ流し
西和賀町沢内に伝わる「新町舟っこ流し」は16日夜、新町地区内で行われ、地域住民が手作りの舟を運行して先祖の霊を供養するとともに五穀豊穣(ほうじょう)を願った。
町指定無形民俗文化財で、毎年8月16日に行われる伝統行事。稲わらで鳥居やお宮をかたどった全長5・4メートル、幅2メートル、高さ2・5メートルほどの舟が作られた。
地域住民らが舟を担いで地区内の主要地方道を練り歩くのが恒例だったが、新型コロナウイルスの影響で3年間は舟の制作のみを実施。今回は密集を避けることと人員不足などから台車に載せた舟を引っ張る形式に変更して復活した。
約60人が参加して新町地区公民館で出発式が行われ、ろうそくをともした舟が午後7時に主要地方道に繰り出した。各戸の門口に送り火がたかれる中、参加者は「わっしょい、わっしょい」と威勢の良い掛け声を響かせながら舟を運行し、稲荷神社を目指した。到着後は舟を解体して燃やし、周りでは太鼓の響きに合わせて盆踊りが行われた。
有馬正幸実行委員長は「担ぎ手が少なくなって大変だが、他の地区にも声を掛け、形を検討しながら地域の行事を受け継いでいきたい」と話していた。