禅の本質 精進料理 正法寺担当職が手ほどき【奥州】
奥州市江刺のえさし郷土文化館は、同市水沢の正法寺で料理を担当する役職「典座(てんぞ)」を務める髙橋哲行さん(43)を講師に迎えた「食で触れるみちのくの禅―精進料理教室」を、3月上旬まで計5回の日程で開いている。同寺開山以来670年余りにわたる精進料理の伝統に触れながら、調理と会食を通じて和食文化の本質を学べるとあって、各回とも募集開始早々に定員に達する人気ぶりだ。
鎌倉時代に日本へ伝わった「禅」の教えには「料理」と「食事」を修行の根本の一つとする考え方があったといい、典座を重要な役職に位置付け、動物性の食材やネギ、ニンニクなどの「五葷(ごくん)」と呼ばれる香りの強い野菜類を使わずに調理した料理を精進料理と呼んだという。
教室では、全国から修行僧が集まって禅の教えを実践する正法寺から、典座の髙橋さんを講師に迎え、精進料理を食べるだけでなく、一緒に作ることで禅について理解を深める。
初回となった6日は同市水沢字吉小路の市武家住宅資料館(旧内田家住宅)のいろり端で七草がゆを炊き、サツマイモのレモン煮やニンジンの白あえなどを作って味わった。続く20日には、えさし郷土文化館を会場に雑穀ご飯、けんちん汁、ほうれん草のごまあえなどを献立に開かれる。
講師の髙橋さんは、一関市東山町の観林寺住職。2017年3月に正法寺専門僧堂典座職に就任し、修行僧への食事はもちろん、参拝者への精進料理も作っている。初回の教室では「一生懸命に料理することを皆さんに伝えたい」と、野菜の切り方や下ごしらえなど、一つずつの工程を丁寧に指導していた。