中尊寺「紺紙金字一切経」不明の1巻か 住田の個人所有、文字特徴など一致
県文化振興事業団と住田町は27日、同町の個人が所有している経文を調査した結果、平安時代に平泉を治めた奥州藤原氏の三代秀衡が中尊寺(平泉町)に奉納した紺紙金字一切経のうち、所在不明だった1巻の可能性が非常に高いと発表した。同寺に残されている物は国宝で、発見された経文も国宝に指定される可能性がある。住田町は保存や公開の方法などを今後検討していく。
一切経は仏典集。紺紙金字一切経は秀衡が12世紀に書写を指示し、奉納したとされる。文字はすべて金泥でしたため、罫線を銀泥で引いているのが特徴。書写の元になった仏典集の巻数から本来は5390巻あると考えられ、同寺には2724巻が現存する。
調査は平泉、住田両町と同寺、京都国立博物館、東北大、同事業団が行った。経文は「大乗大集地蔵十輪経巻第二」。▽中尊寺所蔵でこの巻が欠けている▽画像比較で紙や文字、書式などに違和感がない▽書写元の経文の特徴的な文字と一致▽経巻の整理・分類記号に使われた文字が一致▽近隣の気仙地域への流出は十分考え得る―ことを根拠に、秀衡が奉納した物と断定した。
1巻ごとに作られている表紙と、仏教の故事や教えなどを描いた見返絵は失われ、つながっていた一枚一枚の紙がばらばらになり全19枚中1枚が欠けているものの、保存状態は良いとする。
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