北上・西和賀

両脇坐像の修復完了 きょうお披露目 如意輪寺・釈迦三尊【北上】

修復を終えた文殊菩薩像(如意輪寺提供)
修復を終えた普賢菩薩像(如意輪寺提供)

 劣化などに伴い修復が行われていた、北上市稲瀬町の如意輪寺(菊地英宏住職)が所有する県指定有形文化財「木造釈迦(しゃか)三尊坐像(ざぞう)」の両脇坐像の作業が完了した。復元や補修を施した鎌倉時代制作とされる木像の当時の造形がよみがえった。5日から同市立花の市立博物館本館で開催される特別展で、修理を終えた両脇坐像を含む「木造釈迦三尊坐像」がお披露目される。

 「木造釈迦三尊坐像」は、鎌倉時代前期の13世紀中ごろに運慶らの仏師の系譜「慶派」仏師が製作したとみられ、当時の流行である宋文化の影響を強く受け歴史的にも文化的にも価値が高いとされている。三尊がそろって伝わる貴重なケースで、同坐像は現在の同寺東側に所在した釈迦堂(現在は礎石のみ)にあったとされ、明治時代に釈迦堂が傷んだため同寺で維持管理されている。

 中尊の釈迦如来は1970年代に修理を終えて保存状態は良好だが、両脇の文殊菩薩(ぼさつ)と普賢菩薩は頭部が破損するなど劣化が進んだ状態だった。このため同寺では、これらの文化財的価値を後世に伝えるため修復を模索していた。

 住友財団と東日本鉄道文化財団、県からの支援を受け、2022年8月から脇侍の保存修理事業を実施した。修理は専門業者(東京都)が当たり、不整合だった部材や近世の彩色などを取り除き、損失した部位は復元可能な箇所を補修。この修理により構造が強化されたほか、建造当時の繊細な造形がよみがえった。修理費用は総額で約1220万円で、24年11月に完了し同寺に戻された。

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