県内5万3397人に避難指示 列車・バス運休、通行止めも【岩手】
ロシア・カムチャツカ半島付近で発生した大地震で太平洋沿岸部に津波警報が出されたことを受け、県や沿岸部の自治体、公共交通機関などが対応に追われた。沿岸部の12市町村は5万3397人に避難指示を発令。鉄道関係は5路線で運転を見合わせた。一部路線バスや高速バスも運休。国道45号では津波浸水区間13カ所が全面通行止めとなった。県災害対策本部によると、30日午後7時現在、久慈市内の男性(90)が熱中症(軽症)で病院に搬送されたほかに被害は確認されていないという。
県は、同日午前9時40分に津波注意報が津波警報に引き上げられたため、対策本部を設置。沿岸部の4地方支部、12市町村を通じて被害情報の収集などに当たった。
観測された津波の高さは、久慈港で1・3メートル、大船渡港で40センチ、宮古港と釜石港で50センチだった。
沿岸部の12市町村は避難指示発令に合わせ、最大112カ所に避難所を開設。一時1022世帯、4923人が避難した。
道路関係は、国道45号の津波浸水区域13区間が全面通行止め。三陸沿岸道は山田、宮古南、田老南、岩泉龍泉洞、普代、久慈、洋野宿戸の各インターチェンジ(IC)から一般道への進入が禁止された。主要地方道など5路線6区間も水門・陸閘(りっこう)閉鎖に伴い全面通行止めとなった。
鉄道関係は、JR東日本の山田線、釜石線、大船渡線バス高速輸送システム(BRT)、気仙沼線BRT、三陸鉄道で運転の見合わせなどが相次いだ。
県交通は、大船渡、釜石両管内で一般路線バスの全便を運休。高速・長距離バスも、釜石営業所―仙台駅前間が運休した。県北バスは、宮古発盛岡行きが終日運休となった。
津波警報は同日午後8時45分に津波注意報に切り替えられた。
県は30日、カムチャツカ半島付近での大地震発生に伴う津波で多数の人が生命や身体に危害を受ける恐れがあるとして、宮古、大船渡、久慈、陸前高田、釜石、大槌、山田、岩泉、田野畑、普代、野田、洋野の12市町村の災害救助法適用を決めた。