賢治賞に加倉井さん(筑波大専門員) イーハトーブ賞は瀬川さん(紫波)【花巻】
花巻市は30日、第35回宮沢賢治賞・イーハトーブ賞の受賞者を発表した。宮沢賢治に関わる研究や評論、創作活動などをたたえる宮沢賢治賞に筑波大専門員の加倉井厚夫さん(64)=茨城県つくば市=、賢治を顕彰する実践的活動者に贈られるイーハトーブ賞には共同園芸取締役の瀬川正子さん(80)=紫波町=がそれぞれ選ばれた。9月22日に花巻市大通りのなはんプラザで贈呈式が行われる。
宮沢賢治賞は選考対象11件から本賞1件、今後の活動が期待される奨励賞に2件を選出。イーハトーブ賞は15件から本賞1件が選ばれ、奨励賞は該当者なしだった。上田東一市長と、市の諮問を受け選考した宮沢賢治学会イーハトーブセンターの青木美保代表理事が市役所で会見し発表した。
加倉井さんは、アクセス数100万件を超えるブログサイト「賢治の事務所」を1996年から主宰。賢治と天文学に関するハイレベルなエッセーや論考などを発表し、賢治の研究や普及に大きな影響を残した。
瀬川さんは賢治の友人藤原嘉藤治が開拓した紫波町の山麓に園芸施設を開設。嘉藤治をしのぶ音楽会やパネル展を開催し、資料集「賢治さんの人格・芸術を世界へ 藤原かとうじが残したもの」を刊行した。
宮沢賢治賞奨励賞の谷口義明さん(70)=仙台市=は、天文学の入門書「天文学者が解説する 宮沢賢治『銀河鉄道の夜』と宇宙の旅」などを執筆し、意欲的な研究を継続。同じく名取佐和子さん(52)=神奈川県鎌倉市=はゲーム会社でシナリオライターを務めており、2024年に賢治作品を下敷きとした小説「銀河の図書室」を著した。
宮沢賢治学会イーハトーブセンターが独自に選考する第10回功労賞は、神戸宮沢賢治の会を立ち上げて読書会や朗読などを行い、賢治の精神と作品の普及に努めた同会代表の川崎貴さん(70)=神戸市=に贈られる。