一関・平泉

水害備え万全に カスリン、アイオン台風 70年の節目で訓練

堤防に生じた亀裂の広がりを防ぐためにくいを打ち込み、くい同士を鉄線で結ぶ「籠止め工法」の訓練を行う水防隊員

 2017年度一関市水防訓練(市主催)は2日、同市の磐井川河川公園(山目側)で行われた。市消防団で組織する水防隊が水害防止に向けた各種工法を訓練し、対応手順を確認。また、1947年のカスリン、48年のアイオン両台風から70年の節目に合わせ消防関係者や市民が災害への備えに万全を期した。【15面に関連】

 水防隊員の水防技術の向上と、地域住民の防災意識高揚を目的に毎年開催している。水防隊や市消防本部、自主防災組織などから約600人が参加した。統監の勝部修市長は開会式で「多くの命と財産が失われたカスリン、アイオン両台風から70年の節目だ。過去の水害を振り返り、防災について市民一人ひとりが認識し、風化させることのないよう胸に刻む取り組みをしなければならない」と告辞した。

 水防隊長を務める大森忠雄市消防団長も「水害に対しては組織的かつ迅速、的確な被害防止活動が求められる。隊員は水防の必要性、重要性を再認識し、先人が培った技術と知識を次世代に継承するとともに、規律厳正で士気旺盛な訓練を展開してほしい」と訓示した。

 隊員たちは、河川の増水による堤防の決壊を防ぐ「Tマット工法」や堤防斜面に亀裂が生じた際に被害拡大を防ぐ「籠止め工法」、堤防外への漏水を防止する「改良釡段工法」をそれぞれ実施した。

 このうち、籠止め工法では、堤防に打ち込んだ木製のくいとくいの間を鉄線で結び固定。固定部材に竹を使っていた従来と比べ、管理のしやすさや作業する際の時間を短縮できるという理由から初めて鉄線を用いた。隊員はくいの間隔や鉄線の巻き付け方などを一つ一つ確認しながら、技術の習得に励んでいた。

 同日はこのほか、県防災ヘリによる救助訓練や市婦人消防協力隊連絡協議会の炊き出し訓練などが繰り広げられ、水害被災者の経験を基にした紙芝居も披露された。

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