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言葉で子供救おう 雫石小校長 齋藤卓也さん 自著続編を出版【岩手】

「子どもをぐんぐん伸ばすいい言葉」を手にする雫石小校長の齋藤さん

 雫石町立雫石小学校長の齋藤卓也さん(56)=盛岡市=は「子どもをぐんぐん伸ばすいい言葉」を出版した。2016年に出した著書「いじめから、わが子を守る具体策」の続編。作品を通じ保護者が子供の可能性を伸ばしたり、いじめや不登校、引きこもりといった窮地に陥る前に救ったりするために必要な言葉や子供の声を聞くことの大切さを訴えている。

 昨年発行した自著への読者からの感想を手紙などで目にする中で、いじめのほかにも不登校や引きこもり、自殺などの問題で困っている保護者が多くいること、問題を解決しようと学校などに相談をしてもうまくいかないといった声が多数あることを実感し、そうした要望に応えることができる本を出版しようと筆を執った。

 続編は新書判、175ページ。パートⅠ「いじめなどの問題が生まれる条件」はいじめなどの問題が発生する要因を解説。パートⅡ「子どもが元気に学校に通う いい言葉」は子供を伸ばし、救うためにどんな言葉掛けをすればいいかについて、状況に応じた保護者向けと教師向けの「いい言葉」と「悪い言葉」を比較しながら示した。パートⅢ「いじめなどの問題発見・解決Q&A」は保護者から寄せられたさまざまな声に対してQ&A方式で答える形式でまとめた。

 保護者向けの「悪い言葉」と「いい言葉」の例は跳び箱の失敗を友達にからかわれた場合は「もっと練習しなさいよ」に対し「子どもの時はいくら失敗してもいいんだよ」、学校からしょんぼりした様子で帰ってきた場合は「弱虫だから意地悪されるのよ」に対し「何があってもあなたの味方だよ」、反抗的に口答えをする場合は「そんな悪い子に産んだ覚えはないわ」に対し「何か気になることはないの」などの言葉を挙げた。

 齋藤さんは「日常の何気ない会話の中にいじめや他のさまざまな問題をキャッチして問題を食い止めたり、そこから子供を救ったりする鍵がある。聞くことは子供に関心を向けることであり、見守り続けることが前提にある」とし「いい言葉はいい聞き方からしか生まれない。聞くことが全ての問題を解決すると言ってもいいと思う」と子供の声を聞くことや言葉掛けの大切さを訴える。

 齋藤さんは一関市の黄海小や磐清水小、奥州市の木細工小などに勤務し15年から雫石小校長。11年に大津市で起きた中学生がいじめを苦に自殺した事件をきっかけに、いじめの防止に役立ててもらおうと「いじめから、わが子を守る具体策」を出版。岩手日日新聞紙上で「現場からの提言 いじめは必ずなくなる」も連載している。

 「子どもをぐんぐん伸ばすいい言葉」はコンビニエンスストア向けとして出版し初版5万冊。全国のファミリーマート、サンクス、サークルKで順次発売中(一部取り扱いのない店舗あり)。価格は552円(税別)。問い合わせは発行元のアントレックス=03(5368)1804=へ。

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