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自動閉鎖システム稼働 水門・陸閘 県、震災の教訓で遠隔操作化 宮古、大船渡の8基【岩手】

Jアラートを模擬送信するスイッチを押し閉鎖状況を確認する達増知事(中央)と大船渡、宮古両市の消防団長=県庁

 東日本大震災で水門・陸閘(りっこう)の閉鎖作業を担う消防団員が犠牲になったことを受け、県は31日、衛星通信を使って自動で制御する「水門・陸閘自動閉鎖システム」について宮古、大船渡両市の水門・陸閘8基の運用を開始した。このうち県庁に統制局が設置されている5基については模擬信号を送信し、実際に閉鎖をモニターで監視するなどして消防団などの関係者らが運用を確認した。

 本県では震災時の水門閉鎖の操作などで、消防団員48人が犠牲となっている。操作員の安全確保として整備される水門・陸閘自動閉鎖システムは、現地に行かずに操作できるよう、衛星回線を通じた遠隔化で対応する。全国瞬時警報システム(Jアラート)に連動し、津波注意報・警報が発令されれば自動的に水門・陸閘が閉鎖される仕組み。県庁に統制局、釜石地区合同庁舎に第2統制局をそれぞれ設置している。

 運用開始に伴い、システムの統制局となる県庁では同日、達増拓也知事をはじめ、戸田公明大船渡市長や山口公正宮古市副市長、両市の消防団長ら関係者約20人が出席。合足農地海岸(大船渡市)、高浜海岸(宮古市)、神林海岸(同)の水門や陸閘を対象に閉鎖を確認した。

 達増知事と両消防団長が、Jアラートの模擬信号を送信するスイッチを押した後、周囲に閉鎖を知らせる放送が流れ、約3分以内に5基の水門と陸閘の閉鎖を県庁に設置されたモニターで確認し、達増知事が運用開始を宣言した。

 同システムは2019年度までに県内で約220基を整備予定。総事業費は約68億円で、年間維持費は1、2億円となっている。

 達増知事は「水門・陸閘の閉鎖は、津波から陸側にある町や人を守るために重要。今までにない新しいシステムを構築した。地域や県民に理解してもらうことで安全な運用ができる」と述べた。

 模擬信号による閉鎖の状況を見守った山下修治宮古市消防団長は「宮古では水門の閉鎖作業などで17人の消防団員が亡くなっており、自動で閉鎖するシステムは消防団にとっては大変ありがたい。維持管理についても、消防団の負担軽減を県にお願いした」と話していた。

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