一関・平泉

地域文化財 継承を 特別展講演会 博物館の企画力期待【一関】

地方の博物館に必要な役割について、多様なニーズに応える企画力などの必要性を伝えた講演会

 一関市博物館の開館20周年記念特別展「新たな国民のたから―文化庁購入文化財展―」に関連した講演会は11日、同市厳美町の同館で開かれた。同庁主任文化財調査官の朝賀浩さんが地方の博物館の役割について講演し、多様なニーズに応える企画力や文化観光資源の確立などを強調した。

 朝賀さんは、同館など歴史系、人文系の地方博物館に期待されることとして「地域における各時代の人々の営みの展開を有形、無形の文化財を通じて今日に伝え、将来にわたって継承することだ」と指摘した。

 地方の博物館の役割については▽生涯学習の多様な広がりに対応▽学校との連携▽地域の文化財の総合的把握に貢献▽地域活性化に貢献する企画立案▽地域の核になるステータスの保持▽生涯学習機会としての観光への対応▽地域における文化観光資源としての博物館―の七つを列挙。朝賀さんは「人々の多岐にわたる生涯学習に対応する企画力が求められる」と強調し、「観光している人に掛け替えのない体験をしてもらうため、博物館がアシストできないか」などと提起した。

 社会の進展によって、地域の歴史を伝える文化財が消失することを懸念し「どんな資料がどこにどのような状態であるかを常に考えてほしい。残すべきだと誰かが主張しないと(文化財が)なくなってしまう」と呼び掛け、関心の高まりに期待した。

特別展好評で入館者大幅増

 一関市博物館で7月15日から開催されている開館20周年記念特別展「新たな国民のたから―文化庁購入文化財展―」の期間中の入館者が11日、4000人を超えた。1日平均の入館者は約170人で、同館は「開館以来過去最多のペース」としている。

 同展では国宝3件と重要文化財22件を含む刀剣や陶器、絵画、古文書など40件が並び、会期は20日まで。11~15日は東日本大震災復興支援のため入館無料で、お盆と重なることもあって来館者の増加が見込まれる。

 相馬美貴子副館長は「遠方からも来館してもらっていて、反響は大きい。より多くの人に来ていただきたい」と期待している。

 

momottoメモ

 一関市博物館の開館20年を記念し、「新たな国民のたから―文化庁購入文化財展―」が20日まで同館で開かれている。岩手日日では連載企画を全6回で掲載。国宝や重要文化財を含む貴重な資料から、学芸員がえりすぐった品を紹介する。

①太刀銘正恒

②叢梨地牡丹唐草向鶴紋散蒔絵調度

③短刀 銘吉光(博多藤四郎)

④色絵若松図茶壺 仁清作

⑤流水文銅鐸

 

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