北上・西和賀

薫る昭和の暮らし 故丹治さん蒐集 民具、スケッチと併せ 北上市立博物館収蔵資料展

貴重な民具や骨董品、丹治さん手製の作品が展示されている収蔵資料展

 北上市立博物館の収蔵資料展「民具蒐集(しゅうしゅう)家・丹治敬子さんからの贈り物」は、同市立花の同館で開かれている。昭和時代やそれ以前の骨董(こっとう)品、民具が丹治さん直筆のスケッチと共に展示され、当時の暮らしの一端を垣間見ることができる。

 丹治さんは仙台市出身で、晩年は北上市黒岩で過ごした。地元に根差した民具や骨董品を集め、黒岩に私設ギャラリー「山畝堂」を開設。2011年に93歳で死去した。

 16年に丹治さんの娘から膨大な品々の寄贈を受け、貴重な資料として広く市民や観光客に見てもらおうと20点を厳選。それぞれに丹治さん直筆の丁寧なスケッチとメッセージを添えた。

 戦時中に使われた下駄、照明を覆う遮光傘、丹治さんの祖父が使った秤(はかり)やそろばんのほか、火消しつぼ、石炭入れといったかつての生活用品が並ぶ。

 全明寺に残されていた古文書箱や黒岩出身の日本画家及川香石の絵画、明治初期の消火器、100~200年前に盛んに作製された「飯豊(いで)焼き」、200年ほど前の獅子頭、丹治さんが自ら縫い上げた米袋もある。

 多くは旅行先や地元の骨董屋から購入。添えられたメッセージには「もう絶対買わぬと決心したのに、時間が余り(骨董屋に)寄ってしまった」「こんなに安いと、ついつい買ってしまった」と丹治さんの本音がつづられている。

 来館した青森県おいらせ町の志田陽紀さん(35)は「なかなか昔の生活用品を見ることはないだけに、いい機会になった」とじっくり鑑賞。同館の川村明子主任は「身近な物を集め、当時の人々の暮らしを知る上でとても価値がある。スケッチと実物を見比べるのも面白い。昔の暮らしを想像し、思い出してもらえれば」と呼び掛けている。

 同展は10月30日までで、会期中無休。時間は午前9時~午後5時。観覧料は一般500円、高校生240円、小中学生170円。

地域の記事をもっと読む

北上・西和賀
2024年4月28日付
北上・西和賀
2024年4月28日付
北上・西和賀
2024年4月28日付
北上・西和賀
2024年4月28日付