北上・西和賀

北上に新工場立地 東芝半導体子会社 20年ごろ量産開始

 東芝は6日、半導体子会社「東芝メモリ」の新規拠点を北上市の北上工業団地エリアに決定したと発表した。半導体メモリーの最新鋭工場として、2018年の新棟建設開始を目標に、今後準備作業を進め、20年ごろの量産開始を見込む。立地が一度決定しながら長く事実上凍結されていたが、市や県、関係団体にとって待望の新工場立地が現実のものとなった。【3、5面に関連】

10年越しの誘致実現

 東芝は三重県四日市市にある記録用半導体「NAND型フラッシュメモリー」の主力工場が敷地の関係で施設増強が難しくなり、県や北上市の積極的な誘致活動もあって08年2月、新工場の北上市立地を決定。子会社の岩手東芝エレクトロニクス(現ジャパンセミコンダクター)北側敷地内への新設に向けて土地造成工事を進めていたが、同年のリーマン・ショックの影響で延期。新工場建設は事実上凍結されていた。

 今回の決定について、東芝はエンタープライズ用サーバやデータセンター向けを中心にフラッシュメモリーの需要拡大が見込まれることから、東芝メモリ四日市工場に加えて新規拠点の検討を進めてきたという。

 その中で、進出可能な時期や優秀な人材確保の点から総合的に判断し北上市に決定。具体的には▽四日市と緊密な連携が取れる▽早期の操業立ち上げが可能▽優秀な高卒者採用のポテンシャルが高い-などを挙げた。

 さらに現在国内に一つしかない四日市工場に加え、北上市に拠点を設けることで事業の継続性を高める狙いがあるとした。

 東芝は今年4月、メモリー事業を東芝メモリに承継。スマートフォンやパソコンなどの電子機器やデータセンターなどの情報インフラに必要不可欠なNAND型フラッシュメモリーなどを取り扱っている。IoT(モノのインターネット)進展によるデータ量急増で、メモリーの需要拡大が見込まれている。

 08年の立地決定時、投資額は8500億円、雇用は300人程度から最終的に1000人程度とされたが、今回は「具体的な建設計画や設備投資規模などについては市場動向を踏まえ、今後決定する」とし、雇用や建物の規模なども未定としている。新棟はサンディスク社の参画も別途協議していくという。

 北上市には午後2時すぎ、東芝本社から担当の商工部に電話連絡が入った。髙橋敏彦市長は計画凍結後も毎年、事あるごとに本社に出向き立地計画の現状を確認してきたといい「2008年にいったん北上市進出が決まり、約10年待つ形になったが、ようやく実った。新たに準備が始まるということで、喜びと使命感半分」と語った。

 さらに「地域経済への波及効果は計り知れない。建設関係や関連企業進出、サービス産業、例えば住宅、ホテル、飲食、店舗などもある程度増えてくるのではないか」と期待感を示した。

達増拓也知事 新工場建設の延期が発表されて以来、地元北上市などと連携して早期着工を働き掛けてきたところであり、改めて北上市への立地を決定していただいたことをうれしく思う。世界のメモリー開発をリードしてきた東芝の最先端工場の立地は、半導体関連産業の一層の集積、ひいては国内有数のものづくり産業の集積に結実するものと期待している。本県にとっては数十年に1度の大型誘致案件になるものと認識しており、最先端技術を用いた新工場の立地は、東日本大震災からの復興に向けた大きな希望の光であり、質の高い雇用を通じてふるさと振興の推進にもつながるものと確信している。厳しい経営環境の中での判断だったと思うが、東芝の経営陣の英断を心から歓迎したい。

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