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危機管理マニュアル改定 県教委 北ミサイル発射受け【岩手】

 北朝鮮の相次ぐ弾道ミサイル発射を受け、県教委が自然災害や有事の際の学校現場などの対応策をまとめた「危機管理マニュアル」の見直しを図っていることが15日、分かった。全国瞬時警報システム(Jアラート)等の緊急情報が発信された際の児童生徒の避難誘導などを含めた児童生徒の安全確保対策などの項目を追加し、今月中にも改定版を策定する。今後は県教委の改定を受けて、各学校でもマニュアルの改定を図る方針。

 同マニュアルは、さまざまな危機の予防対策として県教委や各学校単位で策定。東日本大震災の発生を受け、2012年度には津波をはじめとする自然災害に関する事項について見直した。これまで人工衛星など空からの落下物に備えた対応はあったが、海外の武力行使に関する具体的な項目は設けていなかった。

 8月下旬の北朝鮮の弾道ミサイルの発射に伴い今月8日に文部科学省から地域の実情に応じて同マニュアルの見直しを図るよう各都道府県教委に出された通知を受け、ミサイルに関する項目を追加することにした。

 文科省の通知では、児童生徒の安全確保の方策について全教職員で共通理解を図ることや、自治体の危機管理部局や関係機関(警察、消防、自衛隊など)との連携を強化するといった方向性も示され、県教委はこれに沿った形で改定する方針。具体的な内容は検討中だが、15日のミサイル発射を受け、県立学校と県内の市町村教委に▽登校前の児童生徒は自宅待機とする▽保護者、児童生徒を必要以上に不安にさせることがないよう配慮する▽臨時休業の取り扱いについては、児童生徒の安全確保に努めることを最優先とし、学校の状況に応じて学校長が判断する―などの対応を緊急的に通知した。

 教育企画室の鈴木優企画課長は「場面ごとにどのような行動を取るべきかを考える必要がある。防災無線がない地域で登下校中の連絡をどうするかなど、事前に十分な体勢を整え、緊急時に機能するようにしたい」としている。

 

県、職員が情報収集 交通機関などに影響

 15日早朝の北朝鮮のミサイル発射を受け県は、情報収集などの対応に追われた。8月下旬に続き2度目のミサイル発射となり、県内では交通機関が一時運転を見合わせたほか、一部の学校で始業時間を遅らせるなどの対応を取った。午後1時20分現在で、落下物をはじめ、人的、物的被害のいずれも確認されていない。

 県は同日午前6時57分の北朝鮮からのミサイル発射を受け、同7時12分に県情報連絡室を設置し、職員が各市町村や消防本部に被害確認や落下物の有無などの情報収集に当たった。県では県内の被害がないことから、午後1時20分に県情報連絡室から通常の24時間危機管理警戒態勢に移行した。県によると、県内33市町村全てで全国瞬時警報システム(Jアラート)が作動したという。

 学校関係では、滝沢、陸前高田両市の小中学校計9校で始業時間を1、2時間繰り下げる対応を取った。

 交通機関では、新幹線や在来線、IGRいわて銀河鉄道、三陸鉄道は、Jアラートを受け一時運転を見合わせた。このうちJR盛岡支社によると、在来線では東北、北上、釜石など8路線の30本で最大33分の遅れが生じ、乗客約7650人に影響が出た。

 県総合防災室の石川義晃室長は「2回目の弾道ミサイルの発射で県民の不安も大きいと思うが、今後も屋内の建物に避難するなど緊急時の行動を呼び掛けていきたい」としている。

達増拓也知事 繰り返されるミサイル発射は、一連の国連安保理決議に違反するものであり、ミサイルが通過した地域に近い県民に大きな不安を与えるものである。このような行為は大変遺憾であり、厳重に抗議する。北朝鮮が今後再び国連安保理決議違反等の暴挙に出ることのないよう、国においては、国際社会と連携し、国民の安全の確保に万全を期すよう求めていきたい。

 

発射への対応万全に 県下警察署長会議 本部長が指示
▲不測の事態に備えるよう指示が出された県下署長会議

 県警本部は15日、県下警察署長会議を盛岡市の盛岡東署で開き、北朝鮮による弾道ミサイル発射への対応に万全を期すことなどを指示した。

 会議には県警本部の幹部や県下17署長、県公安委員会委員ら75人が出席。友井昌宏県警本部長は、本県の治安情勢を踏まえて重要犯罪の一部で検挙に苦戦していることや子供、女性を対象とした脅威事犯の認知件数の増加傾向、高止まり状態が続く特殊詐欺被害などに危機感を示した上で、「強力なリーダーシップで県民の期待と信頼に応える力強い警察を目指してほしい」と訓示した。

 また、東日本大震災や台風10号による豪雨災害に関連し、被災者の心に寄り添った治安確保に取り組むよう求めた。北朝鮮による弾道ミサイル発射を受けて県警は同日、本部と各署に情報連絡室を設置して情報収集に当たっており、「不測の事態への対処にも万全を期す必要がある」と指示した。

 さらに友井本部長は▽士気高揚と県民からの信頼▽力強い警察を示す成果▽非違事案防止上の留意事項-の取り組みも指示した。

 

 

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