大工の腕 存分に 八角形オーディオルーム完成 千厩・小野寺さん「音楽鑑賞で交流を」【一関】
一関市千厩町磐清水字金山沢の小野寺敏さん(66)は、大工の腕を生かして自宅敷地内に八角形のオーディオルームを建築した。天井、壁、内部構造など全てに職人の技を凝縮させた建造物で、「建築技術を見てもらうとともに交流の機会にもなれば」と話している。
小野寺さんは、地元建設会社の代表。当初は自宅にあふれていた物を収納する物置を建てる予定だったが、「せっかくならこれまでやったことがないものを造りたい」と路線を変更。かつて趣味で集めていた年代物のアンプやオープンデッキ、レコードプレーヤー、スピーカーなどの音楽器材を収容する専用のオーディオルームを造ることにした。
設計は小野寺さんの三男で、会社の代表補佐を務める剛さん(31)が担当。小野寺さんが指揮を執り、従業員の手も借りながら仕事の合間を縫って約半年かけてオーディオルームを完成させ、音楽器材を搬入した。
こだわりは、建物の上部中央から木材を放射状に配置して組んだ天井。一般的にあずまやに用いられる技法だが、八角形の建物は珍しく、挑戦したのは初めて。天井がむき出しの状態で隙間なく、きれいな放射状にするのに苦労したという。また、壁は垂直でなく屋外に向かって傾きを持たせる技法を採用。玄関以外の7カ所の壁に窓を設けて見晴らしを良くした。音楽器材の取り扱いも考慮し、学校の音楽室などに使われている多孔質吸音材を取り付けている。
剛さんは「父の要望を聞きながら設計を行い、最終的に計画通りに仕上がった」と語り、講師を務める職業訓練校の受講生にも意匠的なデザインや技術を学んでもらおうと、自宅に招いて見学の機会を設けたという。
小野寺さんは「高い技術が必要な分苦労したが、出来栄えは上々。器材もそろっているので地域の方にも足を運んでもらい、一緒に懐かしの音楽を聴いて交流できれば」と話す。
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