花巻

豆力士、泣き笑い 三熊野神社 十二番角力式【花巻】

十二番角力式で元気に泣く豆力士

 泣き相撲として知られる花巻市東和町の三熊野神社(小原明宮司)特殊神事「十二番角力(すもう)式」は19日、同町北成島の同神社で行われた。土俵上に豆力士の元気な泣き声が響き、境内には、わが子の健やかな成長を願う父母らの笑顔が広がった。

 同神社例大祭と毘沙門堂例祭法要に合わせて行われる神事で、同町北成島、南成島にゆかりのある1歳児12人が出場。保護者らと北方、南方に分かれて土俵入りし、古式にのっとった七五三の祝杯行事などに続き取り組みに臨んだ。

 勝負は、相撲親方と呼ばれる地域の男性による「ヨォー、ヨォー」の掛け声でスタート。抱えた子供を左右に揺らして互いの顔を近づけて止め、先に泣いた方が負けのルールで6番取組が行われた。

 勝負前から泣いていたり大きな掛け声にも動じなかったりと、豆力士の反応はさまざま。結びの一番を終えたところで小原宮司が「4対0で南方の勝ち」と判定し、和やかムードの中で勝負終了となった。

 北上市から出場した多田実弘ちゃん(8カ月)は、曾祖父がかつて北方の親方を務め、父が十二番角力式出場経験を持つなど「泣き相撲のサラブレッド」。父の忍さん(36)は「自分も出たことがあるだけに、健康に育ってくれればと願うだけ。それが第一」と話し、親子で地域の伝統を受け継いだ喜びをにじませていた。

 十二番角力式は延暦21(802)年の同神社創建時、坂上田村麻呂が配下に相撲を取らせたのが始まりとされる。その後、猿ケ石川を挟んだ南北の集落の若者12人によって行われ、約300年前に数え2歳の氏子の長男に変わった。現在は北成島、南成島両地区にゆかりのある1歳児が出場している。

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