アザリア全6冊公開 賢治記念館 発行100年節目合わせ【花巻】
詩人で童話作家の宮沢賢治が学生時代に寄稿した文芸同人誌「アザリア」の記念展は、花巻市矢沢の宮沢賢治記念館(鎌田広子館長)で24日まで開かれている。1917(大正6)年7月の第1号発行から100年の節目に合わせた展示で、16日からは同館しか所蔵していないとされる全巻(1~6号)の実物を公開。多くの賢治ファンが同館に足を運び、賢治の若き日に思いをはせている。
アザリアは盛岡高等農林学校(現岩手大農学部)の学生たちが創刊した文芸誌。賢治や友人の保阪嘉内ら4人が中心となり、1918年の第6号まで発行された。
短歌を中心に寄稿した賢治は学業とは違った楽しみを同人活動に求めたとみられ、賢治の青春時代をうかがえる資料とされる。
同展にはアザリアに関連し、短編「秋田街道」の直筆原稿も出品。同編はアザリア発行を祝して集まった同人が、喜びのままに深夜の秋田街道を歩いた経験を描いたとされる。仲間たちとの様子やその世界観などが色濃く表れている作品で、こちらも来館者の注目を集めている。
鎌田館長は「6巻全てを所蔵するのは当館だけ。ここにしかない宝を伝えていくために修復し、その過程でできた複製も出展できるようになった。(賢治も苦労だけでなく)青春を謳歌(おうか)した時代があったんだよ、という思いを伝えたくて企画した」と話し、多くの来館に期待している。
開館時間は午前8時30分~午後5時。問い合わせは同館=0198(31)2319=へ。