一関・平泉

一関商議所70周年視察研修 北陸2県へ 伝統の技、リノベーション まちづくり参考に

富山市の中心部にある全天候型の多目的広場「グランドプラザ」を視察する一関商工会議所の一行

 一関商工会議所の創立70周年視察研修は25~27日の3日間、富山、石川の両県で行われた。佐藤晄僖会頭はじめ及川弘人、小野寺眞利両副会頭ら23人が参加し、県境をまたぐ新たなルートの整備による観光振興の取り組みやコンパクトなまちづくりなどから、古里の活性化に向けた方向性を模索した。

 日程のうち、初日は富山市で和漢薬種問屋の池田屋安兵衛商店、駅弁「ますのすし」の製造工場を見学。宿泊先となった石川県七尾市の和倉温泉にある老舗旅館の多田屋では、多田空仁彦会長から、愛知、岐阜、富山、石川の4県を縦断する観光ルート「昇龍道(ドラゴンルート)」について説明を受けた。ルートの発案者で推進協議会長を務める多田会長は、国や各地域との連携した取り組みに触れながら、まちづくりのこつを「言い出しっぺが動くことだ」とし、自ら熱意を持って行動してこそ協働の輪が広がるとの認識を示した。

 2日目は、石川県羽咋市と富山県高岡市を訪問した。羽咋市では、全国唯一の砂浜の観光道路「千里浜なぎさドライブウェイ」に足を運んだほか、ローマ法王へのコメ献上などによる農業のブランド化や、「道の駅のと千里浜」を活用した地域の魅力発信について研修。高岡市では、スズを使った「曲がる食器」で新たなニーズを開拓した鋳物の老舗・能作で伝統の技を目の当たりにしたほか、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産「山・鉾(ほこ)・屋台行事」の一つとなっている「高岡御車山」の展示施設や、昔ながらの街並みを生かしたリノベーション事業を視察した。

 最終日は、路面電車やバスを活用したコンパクトなまちづくりが進められている富山市中心部を徒歩で巡った。市によると、軌道の一部延伸による環状線化で利便性を高めたほか、移住促進に向けた補助制度を設けるなどしており、将来的には沿線地域の居住割合を人口全体の約4割まで引き上げるという。全天候型の多目的広場や図書館など、主要施設には薬品産業に伴う薬瓶製造で培われたガラス技術が用いられており、地域の伝統文化を大切にしながら、将来にわたり持続可能な都市の形成を目指すという意思が随所に見られた。

 佐藤会頭は「実り多い研修で、とても勉強になった。市とも連携しながら組織的に今後の地域活性化について研究したい」と強調。視察団長を務めた及川副会頭は「全て同じようにというわけにはいかないと思うが、集中的に取り組んで成功事例をつくりながら展開していくことができれば。今後も、まず住んでいる人たちが楽しいと思えるまちづくりを進めていきたい」と話していた。

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