賢治の思いで宇宙へ 花巻小児童 無線交信など体験
花巻宇宙少年団(佐々木和彦主宰)と宇宙航空研究開発機構(JAXA)主催のコズミックカレッジは7日、花巻市花城町の花巻小学校(小田島聡校長、児童294人)で開かれた。児童たちはつなぎの訓練服に身を包んだり、宇宙飛行士が行う無線での交信を体験したりして宇宙空間に思いをはせた。
科学に対する子供たちの関心や探究意欲を高める取り組みで、5、6年生101人が参加。「銀河鉄道からのメッセージ~賢治さんの宇宙☆わたしたちの宇宙」をテーマに、多摩六都科学館の髙柳雄一館長が講話した。
髙柳館長は、誘致の取り組みが県南部で進められている次世代の大型加速器「国際リニアコライダー(ILC)」について「小さい宇宙をつくる実験装置」と説明。宇宙飛行士の選考委員を務めた経験を踏まえ、「何かをやろうとした時、いい判断だと思ったら実行できる人、相手がいいと思ったらそれをしっかり支えられる人でないと選ばれない」と選考のポイントを紹介した。
児童たちはトランシーバーを使い、宇宙ステーションとの通信手段になっている無線による交信も体験。相手から返信がこなかったり、雑音で相手の声が聞き取りにくかったりと四苦八苦する児童も見られた。髙柳館長は「情報伝達は、どこで始まりどこで終わるのかが分からないとうまくできない」と手順の大切さを助言。宮沢賢治の童話作品「銀河鉄道の夜」に触れ、「賢治は心で宇宙を旅行した。どんな思いで旅したのか考えてほしい」と締めくくった。
寺澤未來さん(6年)は「トランシーバーは雑音があって、実際に宇宙で使っているのは大変だと感じた」と話した。
夜には同校で中高生や一般も対象に開かれた。
同少年団は日本宇宙少年団花巻分団の育成組織で、JAXAの科学教育プログラムのコズミックカレッジを開いたのは3年ぶり。12月23日に地域社会と学校の連携について考えるタウンミーティングを開催。翌24日にはJAXA宇宙教育センターと日本宇宙少年団主催の宇宙教育指導者セミナーも開かれる。