北上工業団地拡張へ 北上市 東芝新工場立地に対応
北上市議会は9日、北上工業団地の拡張整備事業や周辺道路交通調査検討、道路整備事業の総額8億4390万円を盛り込んだ2017年度一般会計補正予算案、工業団地事業特別会計補正予算案を可決した。東芝の半導体子会社「東芝メモリ」新工場建設に伴う関連企業の進出に備え同団地(127ヘクタール)を14・8ヘクタール拡張する方針で、市は今後地権者説明と用地測量などに入る。既に関連企業から問い合わせが相次いでおり、万全の形で受け入れ態勢を整える。【3面に関連】
北上工業団地は既に分譲完売し、空きがない状況。東芝メモリの四日市工場(三重県四日市市)では工場周辺に約300社の関連企業が立地しており、今後北上でも関連企業の立地が見込まれることから拡張する。
東芝メモリ新工場は東芝子会社のジャパンセミコンダクター北側に立地を計画し、北上市は新工場設置予定地の東側に関連企業向けの団地を造成する。市は工業団地として必要な民有地12・8ヘクタールを取得する方針。
拡張エリアは現在、リンゴ畑が広がり樹木や小屋などがある。また、北部勤労者屋内運動場があり、市は移転を含めて今後状況を見ながら具体的に検討していく。
市は今月中に地権者説明会を開催し、その後用地交渉に入る。用地取得へ測量と物件補償費算定を進め、埋蔵文化財試掘調査に向け樹木も伐採する。
新工場立地に伴い将来、従業員の出退勤時の交通渋滞が予想されることから、市は北上工業団地内と周辺の交通量を調査、解析し道路計画を検討、立案する。渋滞解消のため拡張エリア内の土質調査、測量設計も行い道路の改良や拡幅、新設の可能性を探る。
東芝メモリの新工場は18年に着工、20年から量産態勢に入ることが見込まれている。市によると、既に建設、設備関係やエネルギー供給会社など関連の10社近くから問い合わせが寄せられているという。
市議会の議決を受け、今野好孝商工部長は「受け入れに向けた態勢整備を本格的に進めていかなければならない。まずは地権者に協力いただけるよう一つ一つ説明し、関連企業進出へできる限りの環境を整えたい」と話している。