北上・西和賀

細井氏が3選 西和賀町長選 内記氏に335票差

3選を果たし、後援会関係者らと万歳で喜ぶ細井氏(左から3人目)=12日午後9時40分ごろ、西和賀町湯本の選挙事務所

 任期満了に伴う西和賀町長選は12日、投開票が行われ、現職の細井洋行氏(68)=無所属=が、前町林業振興課長で新人の内記和彦氏(56)=無所属=を335票差で破り、3選を果たした。細井氏は人口減少に歯止めをかけ、将来にわたる持続可能なまちづくりを訴えるとともに、2期8年の実績を前面にアピールし、8年ぶりの選挙戦を制した。【3面に関連】

 午後9時20分ごろ、当選の報を受けた細井氏は、同町湯本の選挙事務所に集まった支持者と握手を交わし、赤坂隆之総括責任者や髙橋輝彦選対本部長らと喜びの万歳。「皆さんのおかげで当選させていただいた。いろいろな意見に向き合いながら施策に反映させていく」と3期目への抱負を語った。

 細井氏は3月8日、3選を目指して立候補を表明。湯田、沢内両後援会と連合会に当たる西和賀後援会(佐々木勉会長)を再構築した。無所属で後援会を中心とした活動を展開し、町内20カ所以上で開催した町政報告会などで施策を訴えたほか、町議5人の支持を受けて浸透を図った。

 選挙戦では、これまでの2期8年の実績をアピール。▽保健・福祉・医療の連携による「健康寿命」の延伸▽6次産業の一層の推進による「町民所得」の向上▽女性が住みよいまちづくり 子どもたちの人材育成▽「自然と歴史」の魅力を生かした地域づくり-の4項目を公約に掲げ、現町政のさらなる推進に期待する有権者の支持を集めた。

 内記氏は無所属で後援会(大石忠夫会長)を中心に活動。政治経験はないものの、旧沢内村時代を含め33年にわたって培った行政手腕を強調した。住民自治の確立を掲げ、健康と暮らしの質の向上や第1次産業を軸とした産業振興、自然エネルギー利用の推進などを訴えたが及ばなかった。

 当日有権者数は5284人(男2450人、女2834人)。投票者総数は4493人(男2117人、女2376人)。有効投票数は4441票。無効52票。投票率は85・03%(男86・41%、女83・84%)で、選挙戦となった09年の前々回を6・77ポイント下回った。

 細井 洋行氏(ほそい・ようこう)

 岩手大農学部卒。民間企業勤務を経て、湯本温泉郵便局長を務めた後、2000年から05年まで湯田町長2期。同年に行われた合併直後の西和賀町長選では敗れたが、09年の町長選で初当選。13年は無投票で再選を果たした。同町湯本30の68の3。同町出身。68歳。

解説 「西和賀一つ」真摯に

 現職と新人による8年ぶりの選挙戦となった西和賀町長選は、現職の細井氏が3選を果たした。第三セクター湯田牛乳公社の経営再建などで成果を挙げた2期8年の実績を持つ細井氏に、有権者は将来にわたる持続可能なまちづくりの推進などを託した。

 選挙戦では「選択の機会が増えた」「新しい候補者が現れたのは良いこと」と評価する声がある一方、重要課題の人口減少対策などで明確な争点や対立軸が見当たらず、現町政の継続か刷新かに注目が集まった。

 細井氏の地元が湯田地区に対し、内記氏は沢内地区。両氏とも「地域間対立は考えていない」とのスタンスで、有権者からも「今は大変な時期。地域で争う時代ではない」との声が聞かれた。ただ、一方の陣営の街頭演説で弁士から地域内結束を促す発言もあった。2005年の町村合併から新町になって12年。本当の意味で「西和賀が一つ」になるには、もう少し時間がかかりそうだ。

 選挙戦はこれまでの実績に加え、知名度に勝る細井氏が優位に進めたが、終盤で内記氏に追い上げられた。敗れたとはいえ、内記氏の得票は有効投票数の4割を超えた。

 3選を果たしたことで現町政は信任された形だが、人口減少に歯止めをかけ、町民一丸となってまちづくりを進めていく上で、細井氏は批判票を投じた有権者の声にも真摯(しんし)に向き合っていく必要がある。

(北上支社・中舘勝弘)

momottoメモ

地域の記事をもっと読む

北上・西和賀
2024年4月28日付
北上・西和賀
2024年4月28日付
北上・西和賀
2024年4月28日付
北上・西和賀
2024年4月28日付