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帰り待つ思い出の品 三陸アーカイブ減災センター 東日本大震災 陸前高田市

返却継続の準備を進める秋山代表=11月11日、陸前高田市内の事務所

 東日本大震災の津波で流され、人々の手で集められた「思い出の品」を持ち主に返却している陸前高田市の事業が、予算不足から11月22日にいったん終了した。いまだ写真7万枚、位牌(いはい)やランドセル、トロフィーなどの物品2500点を保管。被災者らの「諦め切れない」という声に押され、事業を受託した一般社団法人三陸アーカイブ減災センター(秋山真理代表理事)では広く寄付を募り、活動継続を目指している。

 がれきの中から拾われるなどした思い出の品は、被災後間もなく、市内のあちらこちらに自然発生的に集積されるようになり、2011年4月下旬には返却会が始まった。震災から間もなく6年9カ月となる現在も、工事や行方不明者の捜索などに伴って新たな品が見つかっているという。

 市では、国の震災等緊急雇用対応事業を11年度から16年度まで導入して同市高田町字鳴石の事務所に専従スタッフを置き、年中無休で返却に対応。また、来所できない人のため、市内の理美容室や診療所などに写真入りの一覧=写真下=を置いたり、希望に応じて出張返却会を開いたりした。

 交付対象から外れた17年度は、市単独で予算を確保。事業を受託した同センターは、これまで思い出の品を捜す機会に恵まれなかった市外への避難者や市出身者らのため、初の試みとして東京都新宿区などで出張返却会も開いた。

 都内では8、9月の4日間で来場者が延べ100人を超えた。そこで多く聞かれたのは「まだ捜し続けたい」「(市出身の)友人にも教えてあげたい」「事業が終わったら思い出に合えなくなる」と、継続を望む声だった。

 市内でも、いったん事業が終了するのを知った人たちから「諦め切れない」「(膨大な保管データーを)全部確かめたい。時間が足りない」「あんな写真があったはずだ」などという切実な声が上がった。

 「七回忌を終え、ようやく落ち着いて捜せるようになった」などという声が増えてきた矢先の事業終了。捜したり見たりするのをつらく感じて行動できずにいた人、事業そのものを知らずにいた人も少なくないとみられている。

 震災直後の返却会から事業に携わってきた秋山代表は「その人に必要な時がきたら、いつでも思い出の品を捜せるようにしてあげたい」と事業継続を模索。資金確保のため、ホームページ(HP)やフェイスブックで寄付を呼び掛けている。

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 三陸アーカイブ減災センターでは、返却継続についてHPなどで情報を発信していく。寄付に関する申し込み、問い合わせは同センター=0192(47)4848=まで。

 HPアドレス、フェイスブックのアカウントは次の通り。

http://www.shinsai-archive.org

@takata.omoide

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