PFI方式導入へ 北上市議会 新中央給食センター 予算修正案を否決
北上市議会は21日の最終本会議で、2017年度一般会計補正予算案のうち、新中央学校給食センターのPFI(民間資金活用による社会資本整備)方式導入に関連する債務負担行為補正を削除する修正案、18年の国際チャレンジデー開催へ旅費などの削除を求める修正案を審議。両修正案とも賛成少数で否決し、原案を賛成多数で可決した。
債務負担行為補正では、施設整備費と完成後15年間の維持管理運営費総額59億1100万円を限度額に設定。鈴木健二郎氏(共産党)は「学校給食は教育で、調理を含め全面的に公的責任で行うべきだ。PFIは利益第一主義の発想で、教育と全く懸け離れ学校給食になじまない。(市の)説明も不十分だ」と修正案提出理由を説明した。
小田島德幸氏(北新ネット)は「PFIではSPC(特別目的会社)を設立し、確実で安定的な経営が見込まれる。民間はノウハウや創意工夫を持ち合わせている。説明や議論は尽くしており、一刻も早く新施設を決定すべきだ」と原案賛成の立場で討論した。
修正案賛成で討論した星敦子氏(社民党)は民間委託時に人件費削減や人材確保の見通し、財政縮減効果に疑問を呈し、平野明紀氏(北上まほろばクラブ)は従業員の不安定雇用、質の低下を懸念し調理運営業務は直営を主張。採決の結果、修正案は賛成10、反対15の賛成少数で否決した。
来年ニュージーランド・マタマタ市とチャレンジデー共同開催に向け、市長や担当職員が事前協議へ現地に出向く旅費や諸経費120万円を削除する修正案について、平野氏は「年1回のイベントに終わり、健康づくりへの効果は期待できない。地域づくり組織などにも大きな負担がかかっている」と主張。財政事情が厳しい中、現地へ出向くことにも疑問を投げ掛けた。
藤本金樹氏(新清会)は近年チャレンジデーの参加率が上がり、ラグビーワールドカップキャンプ地誘致を見据えた交流促進や機運醸成の必要性から原案賛成の立場、三宅靖氏(北上まほろばクラブ)は平野氏と同趣旨で修正案賛成の立場で討論。採決では賛成9、反対16の賛成少数で否決した。
続く補正予算案原案の採決では賛成15、反対10の賛成多数で可決した。各議員の動向は次の通り。(敬称略)
▽原案賛成(修正案2件反対)=高橋光博、藤本金樹、昆野将之、菊池勝、齊藤律雄、髙橋初男(以上新清会)及川誠、佐藤惠子、八重樫七郎(以上北政会)小原敏道、武田勝、小田島德幸、阿部眞希男(以上北新ネット)熊谷浩紀、小原享子(公明党)
▽修正案2件賛成(原案反対)=佐藤重雄、高橋晃大(以上北政会)梅木忍、三宅靖、平野明紀(以上北上まほろばクラブ)安德壽美子、鈴木健二郎(以上共産党)星敦子、八重樫善勝(以上社民党)
▽新学校給食センター修正案賛成(チャレンジデー修正案と原案反対)=高橋孝二(北政会)
新中央学校給食センター修正案の否決を受け、提出者の一人、鈴木健二郎氏は「結果は結果として受け止めなければならないが、保護者、市民含め問題点の情報提供が不足している。問題点をもっと浮き彫りにすべきだ」と主張。年明けからは具体的な業者選定手続きに入るが「安全・安心、アレルギーの対応、給食の質向上が求められるだけに、しっかりチェックしていく必要がある」と、今後も議会として監視に努める考えを示した。
北上市の学校給食を考える保護者の会の宮原敦子代表は「残念。まだまだ説明が足りないと思う」と疑問を投げ掛けた。
髙橋敏彦市長は「PFIが新しいネーミングでだいぶ心配されたと思うし、まだまだ心配な部分が全て解消されたわけではない。一つずつこれからも丁寧に説明をしていかなければならない」と、今後も説明を尽くす方針を強調した。
21日の北上市議会12月通常会議の最終本会議では、2017年度一般会計補正予算案のほか一般職職員給与条例一部改正、貸研究工場棟条例一部改正、財産(土地)処分など議案15件、道路整備補助率等のかさ上げ措置継続を国に求める発議案1件を可決し閉会した。
一般職給与条例等の一部改正案では、県人事委員会勧告に準じ給料表を400~1000円引き上げ改定し、勤勉手当も0・05カ月引き上げる。総額では年間で給料表は約480万円、勤勉手当は約1200万円が増額となる。
貸研究工場棟条例では、18年4月にオフィスアルカディア・北上に増設する貸研究工場棟の使用者は「岩手大学との共同研究者に限る」とした。
土地処分では北上南部工業団地の1・1ヘクタールを、同団地に立地する電子部品物流業のアルプス物流(本社横浜市、臼居賢代表取締役)に1億円で分譲。同社は既存倉庫が満床となっており、新規業務受託へ倉庫を増設し事業拡大を図る。