冬の挑戦㊦ 一関学院 全国高校駅伝競走大会・男子 個々の意識変え走り磨く
10月に花巻市で開かれた全国高校駅伝競走大会県予選会で23連覇を飾った男子一関学院。タイムは目標を20秒上回る2時間8分10秒で、7人のうち6人が区間賞を獲得。チーム歴代3位の好記録で、全国に向けて弾みをつけた。チームが目指すのは、2004年度の都大路で先輩が打ち立てた県記録2時間5分42秒の更新と、11年ぶりの全国8位入賞だ。
昨年度の絶対的エースだった3年生が抜けた現チーム。県予選会で毎年“一人旅”を続ける常勝軍団だが、千葉裕司監督が「専大北上は過去最高のメンバー。今年うちが伸びなければ、危ない可能性があった」と振り返る。
迎えた本番では専大北上に4分近い差をつけ、危なげないレースを展開。「4月当初は勝てないと思った。勝ちたいという気持ちが出ていて、悪いところがなかった」と指揮官を驚かせる成績をたたき出した。
チームの飛躍には、選手個々の意識の変化があった。下舘真樹主将(3年)や昨年の都大路で5区を走った小倉朝陽選手(2年)が脚の故障で冬から春先まで練習を離れる事態が発生。主将の離脱にもメンバーは士気を下げることなく、互いに声を掛け合って切磋琢磨(せっさたくま)してきた。
その成長は、故障明けの下舘主将が「みんなの雰囲気が違うのが分かった」と感じるほど。千葉監督は「高校スポーツの8割はメンタル。強くなるために何をしようか考え、本人たちが努力した」と評価する。
8月には福島県での合宿と須川合宿で自らを追い込み、距離を走ってスタミナを強化。高速化する都大路に対応すべく、スピードを重視した過酷な練習も積んできた。
目標達成へカギを握るのは、県予選会で5区を走った東太陽と6区を走った菅原立(ともに3年)の両選手。両区間で1キロ3分を目標とし、残りの長距離区間を走る選手がタイムを最大限削るレース展開を描く。
菅原選手は「最初で最後の全国大会になる。ペースを維持し、悔いが残らないレースをしたい」と闘志。東選手は「3年間で走れなかった時期も多かった。1キロ3分を意識して自分の役割を果たしたい」と力を込める。
迫る本番に「『何区で何位になる』とは考えていない。速く走れる選手が機能して全員で走り切り、結果的に8位だったというレースにしたい」と千葉監督。下舘主将は「チームの力が上がり、入賞が近づいていると思う。体調管理をしっかりし、部員15人全員で戦い抜く」と闘志をかき立てる。
全国大会予想オーダー (敬称略)
区間 氏 名 学年 出身中
1区(10キロ) 小倉 朝陽 2 見前
2区(3キロ) 澤田 大輝 3 山田
3区(8.1075キロ)佐藤 陸 3 水沢南
4区(8.0875キロ)及川 瑠音 2 室根
5区(3キロ) 東 太陽 3 下橋
6区(5キロ) 菅原 立 3 金成
7区(5キロ) 下舘 真樹 3 久慈
この企画は報道部・岩渕央、丹沢誠翔が担当しました。
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