花巻

山の恵み 暮らしに 大迫 今年度 講座展開 魅力を発信【花巻】

山林活用を探る「山の暮らしと手しごと講座」。自然愛好家らが山里の生活を体験している
樹皮採取・加工、まきストーブ、納豆作り

 早池峰山の麓に位置し、総面積の9割近くを山林が占める花巻市大迫町は2017年度、市の新規事業として「山の暮らしと手しごと講座」を展開している。年間を通じ、樹皮を使った工作やまきストーブの製作体験などを企画。自然愛好家を中心に好評を博しており、山里の生活を見詰め直し、山林との共生を考える人たちの輪が広がっている。

 今年度は全4回の活動が計画され、このうち「くるみの樹皮で花カゴづくり」は7月に町内の林で木を切り、皮を剥いで採取。今月16日には乾燥させた樹皮をぬるま湯で戻して細く切り、型に合わせて編み込む作業が大迫交流活性化センターを会場に行われ、県内外から約20人が参加した。

 講師で「森と木の技術と文化研究所」の内田健一代表(50)=北海道黒松内町=は「皮は乾燥すると縮むので、きつめに編んだ方が見栄えが良い」などと仕上がりのこつを教えたほか、樹皮を加工、細工する伝統的な民芸について、竹が少ない山間部ならではの生活の知恵の一つと解説した。

 樹皮採取に続いて参加した似内翔太さん(29)=同市石鳥谷町=はなたのケースを製作。「難しそうに思えたけど見よう見まねで意外とできた。口の部分など自分でデザインを考え、工夫するのが面白い。山の生活の話を聞いたり昔の仕事に触れたりすること自体が楽しいし、一つ一つが貴重な経験だと思う」と語った。

 体験メニューを企画する市地域おこし協力隊大迫地域担当の野口まどかさん(36)は「山に詳しくない一般の方にも興味を持ってもらうのが狙いなので、素人の自分だからこそ発見できる面白さもある」と話す。「大迫の魅力を広く発信し、市内の人には地域の山林や林業に改めて目を向けてもらいたい。安全性を確保して取り組んでいきたい」と意欲的だ。

 最終となる4回目の活動は18年1月、地場産大豆を使った納豆作りを計画している。

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