花巻

12日から障害者アート展 見せ方、会場づくり 作家自ら【花巻】

新発想の企画展開催へ準備する八重樫さん(右)と佐々木さん

 るんびにい美術館(社会福祉法人光林会運営)の企画展「きよしさん さなえさんならこう展示するそうです!」は、12日から花巻市星が丘のるんびにい美術館で開かれる。障害がある作家の芸術作品を紹介している同館が、展示構成まで本人の意向を反映させることをテーマに開催する展示会。障害者アート発信の新しい手法として、関係者の関心を集めている。

 開館10周年と同法人50周年の節目に合わせ、同館スタッフが、これまでとは異なるアプローチの企画展を模索。作品制作の段階だけでなく、その見せ方や会場づくりにも本人が参画できるよう準備が進められた。

 この試みで起用されたのが、同館内アトリエで制作に励む八重樫季良さん(61)と佐々木早苗さん(54)。ともに知的障害があるものの強い個性を放つ「ルンビニック・アーティスツ」として評価が高く、展示レイアウトづくりでも独特のセンスを発揮してほしいと選抜された。

 9日は八重樫さん、佐々木さんが会場設営作業に参加。あらかじめ会場展示エリアのミニチュアが用意され、壁面への作品設置やテーブルの配置などを行った。佐々木さんはアトリエ仲間の作品を壁面狭しと並べる一方、八重樫さんは自作のみでの展示エリアづくりを構想するなど両者の違いがはっきりと表れ、スタッフの感嘆を誘っていた。

 同館アートディレクターの板垣崇志さんは「サポートする側が支援することで、結果、作家の意向と異なっていないか、という問題提起が出発点。専門的美術論などに立脚していないところに皆が感動するアートなのに、われわれの『こんなふうに見せたい』がそれを邪魔してはいけない。2人のおかげで、こちら都合でない部分が出せる展示になりそう」と新たな発見があった様子。一味違った障害者アート展に触れてもらえるよう、多くの来館に期待を寄せている。

 4月17日まで。水曜、第4火曜休館。入館無料。午前10時~午後4時30分。問い合わせは同館=0198(22)5057=へ。

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