一関・平泉

漂う芳醇な香り 磐乃井で酒造体験 宮城・登米総合産業高生 育てた有機米活用【一関】

磐乃井酒造で、こうじ作りを体験する登米総合産業高の生徒

 JAS有機米(無農薬・無化学肥料米)の生産に取り組む宮城県登米市の登米総合産業高校は2017年度、一関市花泉町の磐乃井酒造とコラボレーションし、同有機米を活用した日本酒造りに取り組んでいる。将来の産業の担い手として、農産物の加工品開発に関心を深めようという初の試みで、17日は同酒造で生徒が酒の仕込みを体験。日本酒造りの知恵と技術の奥深さに触れた。

 15年に開校した同校では、前身の上沼高校時代から長年にわたって取り組んできた同有機米栽培を継承しており、新設校の新たな試みとして地元企業と連携したコメの加工品開発を企画した。

 日本酒には、同科作物専攻班の生徒が登米市内の実習田で栽培した「ひとめぼれ」のうち約300キロを使用。同酒造の協力で今月上旬から仕込み作業が行われている。

 同日は同科作物専攻班3年生7人が同酒造で、酵母の培養や仕込みタンクの準備、こうじ作りなどの工程を体験した。室内温度が35度ほどに保たれたこうじ室では、こうじ菌をコメになじませる作業に挑戦。生徒は初めての作業ながらも徐々にこつをつかみ、菌が均一に繁殖するよう丁寧にもみ込んでいた。

 佐々木湧斗さん(3年)は「酒造りには時間と手間がかかるのだと実感でき、いい経験になった。自分たちで育てたコメが、さまざまな年代の人に好んでもらえるような日本酒に仕上がるといい」と期待しながら作業に励んだ。

 同酒造の阿部徳彦代表取締役は「生徒との商品開発は初めてだったが、みんな積極的で活気をもらった。ご飯としてだけでなく、コメにはさまざまな活用法があり、加工を仕事にする人もいるのだと感じるきっかけになればうれしい」と話していた。

 完成品は卒業式当日に体験した生徒にプレゼントされるほか、同酒造のホームページなどでの販売、仙台市内のホテルでの提供も予定している。

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