一関・平泉

火の粉に福祈る 毛越寺二十日夜祭【平泉】

毛越寺境内でたいまつをぶつけ合い、火の粉を散らす男たち

 平泉町の毛越寺(藤里明久貫主)で20日、二十日夜祭が行われた。信徒が常行堂を目指して練り歩く献膳行列や、境内で荒々しくたいまつをぶつけ合う火たきのぼり、僧侶や子弟による国無形民俗文化財延年の舞の奉納などが行われ、五穀豊穣(ほうじょう)、除災招福を祈った。

 14日に始まった同寺常行堂の本尊阿弥陀如来の守護神として祭られている摩多羅神(またらじん)の祭礼。結願(けちがん)の20日は「二十日夜祭」と称し、本尊に花、摩多羅神に野菜を奉納する献膳式に始まり、慈覚大師伝来の古式の法要が行われた後、法楽として延年の舞が奉納される。

 祭礼に当たり、町内や一関、奥州両市の五つの奉納宿からJR平泉駅前に集まった常行講信徒約300人が午後7時20分すぎ、常行堂を目指し出発。鬼子と呼ばれる幼児を背負ったり、供物を携えたりし、たいまつの明かりを先頭にほら貝と太鼓の音を響かせながら歩みを進めた。

 境内に到着すると、厄年の男らは威勢のよい掛け声とともに燃え盛るたいまつを荒々しくぶつけ合い、火の粉を散らした。常行堂前では蘇民袋の争奪戦も行われた。

 参加した奥州市衣川区古戸の農業千葉慎一さん(40)は「みんなのおかげで参加でき、蘇民袋を取ることができた。この気持ちをみんなに分け、良い1年にしたい。寒かったが、熱気のほうが勝った」と笑顔を見せた。

 争奪戦を終えると、静まり返った堂内では一山の僧侶や子弟によって延年の舞が奉納され、平安より受け継がれた歌舞が参拝者を魅了した。

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