外国人向け伝統文化体験 南部神楽・鶏兜作りやゲーム試行 プログラム開発 参考に【一関】
県の訪日外国人向け伝統文化鑑賞・体験プログラム開発事業の一環として外国人を対象にした伝統文化のモニター体験が4日、一関市厳美町の骨寺村荘園交流館で行われた。今回はモニターとして岩手大の外国人留学生ら7人が参加し、神楽の鶏兜(とりかぶと)作りや体感ゲームなどを体験。同事業を受託している縦糸横糸合同会社では、今回のモニターが鶏兜作りに興味を持って取り組んだこともあり、本県の民俗芸能を発信するプログラム開発の参考とする考えだ。
同事業では、本県の多様な民俗芸能を効果的に伝え、唯一無二の体験とできるかを、県北、盛岡、沿岸、県南の4ブロックに分けて検証している。
同社では、同市を拠点に南部神楽の文化発信事業を展開するカグラ・メグル実行委員会(二宮彩乃代表)などとともに演舞だけでない関わり方、支え方を提案。ものづくりの担い手発掘の観点から道具・装束に焦点を当て「カグラ・ツクル」イベントを実施している。
今回の体験は、「カグラ・ツクルvol.3 ものづくり×南部神楽」と題して開催。昼食で餅文化を紹介した後、鶏兜作り体験が行われた。仙台市の紙加工会社の協力を得て同神楽で使用している鶏兜を紙で再現したキットを使用。キットは、順番通り重ねて鉢巻きをパンチ止めし、オリジナルの図柄を入れて完成という物。留学生らは同神楽の小岩恭一代表らメンバーの指導を受け、「Myトリカブト」を仕上げた。
同神楽の鶏舞を鑑賞した後、Myトリカブトの着付け体験、神楽体感ゲームが行われた。神楽体感ゲームは、あらかじめ撮影しておいた鶏舞の映像を見ながら一緒に踊っている体感者の映像も画面に映し出される。手軽に体験できるとして現在開発中という。
同社の小岩秀太郎代表によると、これまで同事業では、さんさ踊り(盛岡市)やなにゃとやら(二戸市)、鹿(しし)踊り(釜石市)の体験が行われたという。今回の南部神楽では「お土産になる物、持ち帰れる物」という観点から、鶏兜に着目し、体験できるプログラムとして試行した。
小岩代表は「参加者は踊りが難しかったと言っていたが、鶏兜については見た目がきれいで、面白いと興味を持ってくれた」と感触を得た様子。「今回は達古袋神楽の鶏兜だったが、他の神楽の鶏兜も可能だ。他の民俗芸能でも道具という観点から検討し、プログラムを考えたい」と話している。